TRC IMADOKI・REPORT VOL.3(2013年3月8日)
~Jリートと現物不動産~
発信元> TFP不動産コンサルティング株式会社(TRC)
〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-8-1 丸の内トラストタワーN館14階
Tel:03-6212-2530 Fax:03-6212-2532
《http://www.tfp-rc.co.jp e-mail:info@tfp-rc.co.jp》
文:宮尾 啓子
いま注目のJ-リート!」
投資家から集めたお金で不動産に投資する不動産投資信託(REIT)。株式と比べた利回りの良さや、不動産価格の上昇期待から今注目されており、今後も市場の活性化に繋がる動きが想定されます。そこで第3回目のテーマは「Jリートと現物不動産」です。
Jリートの歴史
Jリートの歴史を振り返ってみます。2001年9月10日、日本ビルファンド投資法人とジャパンリアルエステイト投資法人の2銘柄が上場、時価総額2,500億円で誕生しました。当初は市場規模が小さかった為、知名度も低く投資口価格(株価)は低迷していましたが、徐々に投資家や海外からの認知も得て、種別もオフィスや住居系以外にもホテルや物流施設などに特化したリートも誕生しました。その後、景気回復に伴い不動産市場は活況を呈し2007年前半には投資口価格が急上昇。Jリート誕生から約6年間で時価総額は誕生当時の28倍にあたる約7兆円、42銘柄に達しました。その後、サブプライム問題を発端とした米国金融危機の影響により投資口価格は下落、当時は利回り20%以上の銘柄もあったほどです。その後も低迷が続きましたが、ようやく不動産市況の底入れ感をきっかけに昨年夏以降上昇に転じました。そして現在(2013年3月7日時点)での東証REIT指数は1396.79と、リーマンショック直前の水準を上回るまで復活し、高水準で推移しています。
東京のオフィス市況は明るい兆し?
最近のトレンドは、物流系です。アマゾンや楽天などネット通販市場の拡大が大きく影響しています。昨年以降の新規上場6銘柄のうち3銘柄は物流系です。現在、物流系がリート市場をけん引していますが、物流系のみならず、オフィスに特化した銘柄もここにきて投資口価格が上昇しています。不動産市況の底入れ感や、金融政策への期待感から不動産市場に資金が流入していることにより、実体はともかく今後東京のオフィス賃料は上昇、空室率も改善に向かうとの見方もあり、これらの期待感もリート市場の活性化に大きく影響していると考えられます。確かに、昨年都心で大量供給された新築ビルは高稼働あるいは満室でスタートしている様です。しかしその反面で、新築ビルへの移転による2次空室問題もあります。耐震問題を抱えた中小ビルは今後も苦戦を強いられるでしょう。現在の東京都心5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷)のオフィス空室率は8.5%、借り手市場・貸し手市場のボーダーラインである4%にはまだしばらくの間、届きそうにありません。この様な状況を鑑みるとオフィス賃料が全体的に上昇するというのは疑問で、オフィス市況全体が明るい兆しという訳ではなさそうです。物件ごとに極端に2極化をしていくと考えます。
日銀の購入する銘柄とは
日銀がJリートを購入していることも話題になっています。どんな銘柄を購入しているのかは大変気になるところですが、さすがに銘柄は公表されていません。ただ、格付けの高い銘柄(AA以上)が購入の条件です。AA以上の銘柄というと、日本ビルファンド投資法人、日本ロジスティクス投資法人(ともにスポンサーは三井系)ジャパンリアルエステイト投資法人、日本リテールファンド投資法人(ともにスポンサーは三菱系)などが上げられます。
因みに日本ビルファンドはオフィスビルに特化したリートです。保有物件は、NBF日比谷ビル・大崎ゲートシティ・西新宿三井ビルディングをはじめ、
東京都心を中心に、東京周辺エリアと主要地方都市で全70物件が組み込まれています。中には築50年の物件(NBF虎ノ門ビル:西新橋1丁目交差点角のりそな銀行)などもあります。様々なエリアと規模の物件を組み込む事でリスク分散される、これがリートの魅力の一つではありますが、他にも銘柄ごとに保有物件を見てみると、単体で売りに出ていたら売れないであろう物件、クライアントには紹介しないであろう物件も入っており少々驚きます。リートを購入する際には保有物件をチェックし、どんな物件が組み込まれているか、空室リスクはどのくらいありそうか等見ておくことも、投資銘柄を選定する上で重要です。テナントの入退去は収益に直に影響があり、受け取る配当金に影響があります。
Jリートと現物不動産どちらが良いのか
さて、Jリートと現物不動産、どちらが良いの、というご質問をしばしば受けます。弊社の商売だけを考えると「現物の方が良いです。」となるのですが、どちらもメリットデメリットがありますし、資産運用の目的によっても異なります。
リートのメリットは大きく5つあります。
・小額で不動産投資ができること
・換金性が高いこと
・組み込まれている物件は遵法性が高く透明性があること
・様々な物件に分散投資しているためリスク分散され、分配金が安定していること
・現物不動産に比べると管理が楽であること
したがって、値上がり益よりも定期的に安定した収入を得たい方、単純に投資目的の方にはリートの方が向いているでしょう。
リートにはない現物不動産の魅力
では、現物不動産のメリットはどうでしょうか。リートと比較してみましょう。
・レバレッジ効果が期待できる(借り入れをした場合)
・自己の事業にすることができる
・相続対策、節税対策になる
・付加価値を付けることで収益を上げることができる
これらはリートにはない魅力ですし、また、物件によってはリートでは考えられない様な高利回りが期待できる物件もあります(ハイリスクハイリターン!)。 が、その様な物件は何かしらの裏(・)があると思って良いでしょう。
現在は借り手市場であり、空室対策や原状回復など、安定した収益を得る為には創意工夫が必要ですが、試行錯誤した分だけ結果に現れます。自分の手腕次第で収益を上げる事ができる事も現物不動産の魅力の一つではないでしょうか。
憧れの街に不動産を持つなんて、夢がありますよね。
いま必要なのは、目利き力!
今、不動産市場は動き出しています。品薄だった投資用不動産情報も出始め、不動産市場は活性化しつつあります。但し、リートであれ現物不動産であれ、表面上の収益や利回りだけで判断するのは危険です。どちらにも同様にリスクがあります。
物件自体の下落リスク、金利のリスク、賃料の下落リスク、空室リスク、老朽化に伴う修繕、周辺環境の変化等々。特に現物不動産において肝心なのは細部に亘りこのようなリスク検証をすることです。こんなときだからこそ冷静に慎重に見極めたいもの。しっかりと「ナカミ(・・・)」を見極める目利き力が必要ではないでしょうか。
~Jリートと現物不動産~
発信元> TFP不動産コンサルティング株式会社(TRC)
〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-8-1 丸の内トラストタワーN館14階
Tel:03-6212-2530 Fax:03-6212-2532
《http://www.tfp-rc.co.jp e-mail:info@tfp-rc.co.jp》
文:宮尾 啓子
いま注目のJ-リート!」
投資家から集めたお金で不動産に投資する不動産投資信託(REIT)。株式と比べた利回りの良さや、不動産価格の上昇期待から今注目されており、今後も市場の活性化に繋がる動きが想定されます。そこで第3回目のテーマは「Jリートと現物不動産」です。
Jリートの歴史
Jリートの歴史を振り返ってみます。2001年9月10日、日本ビルファンド投資法人とジャパンリアルエステイト投資法人の2銘柄が上場、時価総額2,500億円で誕生しました。当初は市場規模が小さかった為、知名度も低く投資口価格(株価)は低迷していましたが、徐々に投資家や海外からの認知も得て、種別もオフィスや住居系以外にもホテルや物流施設などに特化したリートも誕生しました。その後、景気回復に伴い不動産市場は活況を呈し2007年前半には投資口価格が急上昇。Jリート誕生から約6年間で時価総額は誕生当時の28倍にあたる約7兆円、42銘柄に達しました。その後、サブプライム問題を発端とした米国金融危機の影響により投資口価格は下落、当時は利回り20%以上の銘柄もあったほどです。その後も低迷が続きましたが、ようやく不動産市況の底入れ感をきっかけに昨年夏以降上昇に転じました。そして現在(2013年3月7日時点)での東証REIT指数は1396.79と、リーマンショック直前の水準を上回るまで復活し、高水準で推移しています。
東京のオフィス市況は明るい兆し?
最近のトレンドは、物流系です。アマゾンや楽天などネット通販市場の拡大が大きく影響しています。昨年以降の新規上場6銘柄のうち3銘柄は物流系です。現在、物流系がリート市場をけん引していますが、物流系のみならず、オフィスに特化した銘柄もここにきて投資口価格が上昇しています。不動産市況の底入れ感や、金融政策への期待感から不動産市場に資金が流入していることにより、実体はともかく今後東京のオフィス賃料は上昇、空室率も改善に向かうとの見方もあり、これらの期待感もリート市場の活性化に大きく影響していると考えられます。確かに、昨年都心で大量供給された新築ビルは高稼働あるいは満室でスタートしている様です。しかしその反面で、新築ビルへの移転による2次空室問題もあります。耐震問題を抱えた中小ビルは今後も苦戦を強いられるでしょう。現在の東京都心5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷)のオフィス空室率は8.5%、借り手市場・貸し手市場のボーダーラインである4%にはまだしばらくの間、届きそうにありません。この様な状況を鑑みるとオフィス賃料が全体的に上昇するというのは疑問で、オフィス市況全体が明るい兆しという訳ではなさそうです。物件ごとに極端に2極化をしていくと考えます。
日銀の購入する銘柄とは
日銀がJリートを購入していることも話題になっています。どんな銘柄を購入しているのかは大変気になるところですが、さすがに銘柄は公表されていません。ただ、格付けの高い銘柄(AA以上)が購入の条件です。AA以上の銘柄というと、日本ビルファンド投資法人、日本ロジスティクス投資法人(ともにスポンサーは三井系)ジャパンリアルエステイト投資法人、日本リテールファンド投資法人(ともにスポンサーは三菱系)などが上げられます。
因みに日本ビルファンドはオフィスビルに特化したリートです。保有物件は、NBF日比谷ビル・大崎ゲートシティ・西新宿三井ビルディングをはじめ、
東京都心を中心に、東京周辺エリアと主要地方都市で全70物件が組み込まれています。中には築50年の物件(NBF虎ノ門ビル:西新橋1丁目交差点角のりそな銀行)などもあります。様々なエリアと規模の物件を組み込む事でリスク分散される、これがリートの魅力の一つではありますが、他にも銘柄ごとに保有物件を見てみると、単体で売りに出ていたら売れないであろう物件、クライアントには紹介しないであろう物件も入っており少々驚きます。リートを購入する際には保有物件をチェックし、どんな物件が組み込まれているか、空室リスクはどのくらいありそうか等見ておくことも、投資銘柄を選定する上で重要です。テナントの入退去は収益に直に影響があり、受け取る配当金に影響があります。
Jリートと現物不動産どちらが良いのか
さて、Jリートと現物不動産、どちらが良いの、というご質問をしばしば受けます。弊社の商売だけを考えると「現物の方が良いです。」となるのですが、どちらもメリットデメリットがありますし、資産運用の目的によっても異なります。
リートのメリットは大きく5つあります。
・小額で不動産投資ができること
・換金性が高いこと
・組み込まれている物件は遵法性が高く透明性があること
・様々な物件に分散投資しているためリスク分散され、分配金が安定していること
・現物不動産に比べると管理が楽であること
したがって、値上がり益よりも定期的に安定した収入を得たい方、単純に投資目的の方にはリートの方が向いているでしょう。
リートにはない現物不動産の魅力
では、現物不動産のメリットはどうでしょうか。リートと比較してみましょう。
・レバレッジ効果が期待できる(借り入れをした場合)
・自己の事業にすることができる
・相続対策、節税対策になる
・付加価値を付けることで収益を上げることができる
これらはリートにはない魅力ですし、また、物件によってはリートでは考えられない様な高利回りが期待できる物件もあります(ハイリスクハイリターン!)。 が、その様な物件は何かしらの裏(・)があると思って良いでしょう。
現在は借り手市場であり、空室対策や原状回復など、安定した収益を得る為には創意工夫が必要ですが、試行錯誤した分だけ結果に現れます。自分の手腕次第で収益を上げる事ができる事も現物不動産の魅力の一つではないでしょうか。
憧れの街に不動産を持つなんて、夢がありますよね。
いま必要なのは、目利き力!
今、不動産市場は動き出しています。品薄だった投資用不動産情報も出始め、不動産市場は活性化しつつあります。但し、リートであれ現物不動産であれ、表面上の収益や利回りだけで判断するのは危険です。どちらにも同様にリスクがあります。
物件自体の下落リスク、金利のリスク、賃料の下落リスク、空室リスク、老朽化に伴う修繕、周辺環境の変化等々。特に現物不動産において肝心なのは細部に亘りこのようなリスク検証をすることです。こんなときだからこそ冷静に慎重に見極めたいもの。しっかりと「ナカミ(・・・)」を見極める目利き力が必要ではないでしょうか。