TRC IMADOKI・REPORT VOL.6(2013年8月19日)
~東京駅周辺の開発/丸の内・大手町・日本橋~
<発信元> TFP不動産コンサルティング株式会社(TRC)
〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-8-1 丸の内トラストタワーN館14階
Tel:03-6212-2530 Fax:03-6212-2532
《http://www.tfp-rc.co.jp e-mail:info@tfp-rc.co.jp》
文:宮尾 啓子
東京駅周辺の再開発
現在、東京駅の周辺エリアにおいて大規模な再開発が行われています。いたるところに工事の大型のクレーンを見かけ、ビルの解体や建築が、常にどこかで行われている状況です。東京駅周辺は今後どのような街になっていくのか気になるところです。そこで今回は、東京駅周辺の開発/丸の内・大手町・日本橋エリアをご紹介します。
黄昏の街から憧れのオフィス街に
丸の内は別名三菱村。三菱グループの本社が数多く集まっていることから、このように呼ばれています。大手銀行本店や、大企業のビルが立ち並ぶ日本の経済と金融の中心地でもありますが、一昔前の丸の内は、昼夜の人口の差が極端でした。平日の昼間の活気とは反対に、夜間や休日は閑散としていました。1990年代に入り、オフィスのトレンドが新宿や六本木、渋谷といった新たなオフィス街へ移り始め、丸の内は「黄昏の街」と揶揄されるようにまでになりました。
そこで、三菱地所が中心となり、人を呼び込める街に再生すべく、一大プロジェクトが発足。1998年から丸ビルをはじめとし、東京ビルディング等、周辺一体で次々に建て替えが始まりました。丸の内エリアの再開発のポイントは、何といっても特例容積率適用制度を利用したことです。特例容積率適用制度とは、その指定された区域内であれば、隣接していない建築敷地内においても容積率の移転が認められるというもの。これにより空中権の売買が可能になったのです。丸の内の場合、東京駅の未利用の容積、空中権を購入することで、超高層ビルへ建て替えが可能になりました。一方、昨年創業当初の姿にてリニューアルオープンした東京駅は、そのリニューアルの資金約500億円を、この空中権を売却した資金で賄ったとのこと。お互いにメリットのある手法だったのです。丸の内がこの特例容積率適用区域に指定されたのには理由があります。丸の内を魅力とにぎわいのある国際都市に再生するためです。国際ビジネスセンター機能の強化と、歴史と文化を生かした都市空間の形成というビジョンのもと、土地の高度利用を図るべく超高層ビルの建て替えが行われました。
再開発のコンセプトは、一つのビルをただ建て替えるのではなく、街全体、丸の内ブランドを再構築すること。オフィス街としての機能だけでなく、ファッションやグルメといった魅力で、人を呼び込む街づくりが重要なポイントになりました。人の流れを作ったこともその一環です。丸の内仲通りは、一番近い繁華街である有楽町・銀座から丸の内へと人の流れが出来るように計算されて作られました。街路樹の植えられた広々とした通りの両脇にはファッションブランドが建ち並び、おしゃれな街並みへと見事に変貌を遂げたのです。如何に人を呼び込める街にできるか、ここが再開発成功の重要なポイントです。こうして丸の内は、東京駅も含めた街全体が一体となって復活したのです。
大手町は国際水準のビジネス街へ
丸の内の北側大手町も現在再開発の真っ只中です。この再開発のポイントは「連鎖型再開発」です。この「連鎖型再開発」は、大手町合同庁舎の跡地を種地として活用し、土地区画整理事業の換地手法を用いて、段階的且つ連続的に建替えを行っていくというものです。築30年以上の古いオフィスビルが多く存在する大手町地区を、国際ビジネスの拠点へと再生すべく立ち上げられた都市再生プロジェクトです。既存のビルを使用しながら、竣工後に新しいビルに「直接移転」するため、地権者は建替えの為の移転が1回で済むというのも、大きなメリットと言えます。都心の既存オフィス街という
難易度の高いエリアにおいても、このような手法を用いることで再開発が可能になったのです。
2016年完成予定の大手町1丁目第3地区、大手町1-1計画B棟には、今まで大手町エリアに存在しなかった、サービスアパートメントや高級旅館といった、国際対応の居住施設・宿泊施設が誕生します。高級旅館は東京初進出の星野リゾートが展開します。外国からのゲストに国際ビジネスのエリアにおいて高級旅館を利用してもらい、‘日本のおもてなし’を体感してもらおうというのです。大手町1-1計画A棟には海外企業への支援センターも整備される予定です。また、災害時においても安定した電力供給が出来るよう自立型発電システムを取り入れ、BCP(事業継続計画)対応も整います。このように、新しい国際水準のオフィス街が、まさに今、誕生しようとしています。

歴史と伝統文化の町 日本橋の再生とは
かつて江戸五街道の出発点だった日本橋。日本の道路網の始点となっていたため、人の往来が盛んだった日本橋は、古くから商業と金融の中心地でした。日本橋は、三井グループの本社が建ち並び、丸の内の三菱村と並ぶ三井村と言われています。歴史と伝統文化が色濃く残り、老舗の店舗が集積する、まさに歴史と近代化が融合する街です。
現在、日本橋では、三井不動産が主体となって再開発が進められています。再生計画のコンセプトは、「残しながら、蘇らせながら、創っていく。」 国の重要文化財である三井本館や三越日本橋本店といった歴史的建造物が、この街には数多くあります。日本橋のシンボルタワーとなっている三井タワーも、その向かい側のCOREDO室町も、この歴史的建造物と調和したデザインです。この周辺では2014年完成予定の「室町東地区開発計画」が現在進行中です。複数の地権者が持つ5つの街区を一体で開発しているのには驚きます。
まさに地権者の日本橋への思いが一つになって、一つの街区を創り上げているのではないでしょうか。勿論、この再開発で完成するビルも歴史的建造物と調和の取れたデザインになります。2-3街区では、日本橋初のシネコンが誕生します。その裏手にある千年以上の歴史を持つ福徳神社では拝殿も再生され、憩いの場を提供します。1-5街区はオフィスと商業施設からなる複合施設が建設中で、ここでは中央区と共同で地下空間を整備中。東京メトロ三越駅前とJR新日本橋駅、三越日本橋本店、COREDO室町などと地下でつながるのです。災害時には防災拠点となり約3000人を収容するスペースを確保します。長く受け継がれてきた伝統文化を未来に残しながら、共存しながら、日本橋は再生していきます。

資料:三井不動産HPより
アジアヘッドクオーター特区として
今回ご紹介したこの丸の内・大手町・日本橋は、日本の伝統文化を残しながら、日本の中心地として国際水準のビジネス街へ商業地へと生まれ変わろうとしています。
東京駅周辺は、東京都が打ち出す「アジアヘッドクオーター特区」のエリアです。アジアヘッドクオーター特区とは、都市の国際競争力を強化し、海外ビジネスマンや海外企業のアジア拠点を東京に誘致しようというもの。その受け皿となるべくハイスペック且つ国際水準のオフィスや商業施設、居住施設、宿泊施設がここ東京の中心地に次々と誕生しようとしているのです。アジアヘッドクオーター特区としての役目をこの街がどう果たしていくのか、今後の東京駅周辺に期待が高まります。
参考:東京都HP/三菱地所HP/三井不動産HP
~東京駅周辺の開発/丸の内・大手町・日本橋~
<発信元> TFP不動産コンサルティング株式会社(TRC)
〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-8-1 丸の内トラストタワーN館14階
Tel:03-6212-2530 Fax:03-6212-2532
《http://www.tfp-rc.co.jp e-mail:info@tfp-rc.co.jp》
文:宮尾 啓子
東京駅周辺の再開発
現在、東京駅の周辺エリアにおいて大規模な再開発が行われています。いたるところに工事の大型のクレーンを見かけ、ビルの解体や建築が、常にどこかで行われている状況です。東京駅周辺は今後どのような街になっていくのか気になるところです。そこで今回は、東京駅周辺の開発/丸の内・大手町・日本橋エリアをご紹介します。
黄昏の街から憧れのオフィス街に
丸の内は別名三菱村。三菱グループの本社が数多く集まっていることから、このように呼ばれています。大手銀行本店や、大企業のビルが立ち並ぶ日本の経済と金融の中心地でもありますが、一昔前の丸の内は、昼夜の人口の差が極端でした。平日の昼間の活気とは反対に、夜間や休日は閑散としていました。1990年代に入り、オフィスのトレンドが新宿や六本木、渋谷といった新たなオフィス街へ移り始め、丸の内は「黄昏の街」と揶揄されるようにまでになりました。
そこで、三菱地所が中心となり、人を呼び込める街に再生すべく、一大プロジェクトが発足。1998年から丸ビルをはじめとし、東京ビルディング等、周辺一体で次々に建て替えが始まりました。丸の内エリアの再開発のポイントは、何といっても特例容積率適用制度を利用したことです。特例容積率適用制度とは、その指定された区域内であれば、隣接していない建築敷地内においても容積率の移転が認められるというもの。これにより空中権の売買が可能になったのです。丸の内の場合、東京駅の未利用の容積、空中権を購入することで、超高層ビルへ建て替えが可能になりました。一方、昨年創業当初の姿にてリニューアルオープンした東京駅は、そのリニューアルの資金約500億円を、この空中権を売却した資金で賄ったとのこと。お互いにメリットのある手法だったのです。丸の内がこの特例容積率適用区域に指定されたのには理由があります。丸の内を魅力とにぎわいのある国際都市に再生するためです。国際ビジネスセンター機能の強化と、歴史と文化を生かした都市空間の形成というビジョンのもと、土地の高度利用を図るべく超高層ビルの建て替えが行われました。
再開発のコンセプトは、一つのビルをただ建て替えるのではなく、街全体、丸の内ブランドを再構築すること。オフィス街としての機能だけでなく、ファッションやグルメといった魅力で、人を呼び込む街づくりが重要なポイントになりました。人の流れを作ったこともその一環です。丸の内仲通りは、一番近い繁華街である有楽町・銀座から丸の内へと人の流れが出来るように計算されて作られました。街路樹の植えられた広々とした通りの両脇にはファッションブランドが建ち並び、おしゃれな街並みへと見事に変貌を遂げたのです。如何に人を呼び込める街にできるか、ここが再開発成功の重要なポイントです。こうして丸の内は、東京駅も含めた街全体が一体となって復活したのです。
大手町は国際水準のビジネス街へ
丸の内の北側大手町も現在再開発の真っ只中です。この再開発のポイントは「連鎖型再開発」です。この「連鎖型再開発」は、大手町合同庁舎の跡地を種地として活用し、土地区画整理事業の換地手法を用いて、段階的且つ連続的に建替えを行っていくというものです。築30年以上の古いオフィスビルが多く存在する大手町地区を、国際ビジネスの拠点へと再生すべく立ち上げられた都市再生プロジェクトです。既存のビルを使用しながら、竣工後に新しいビルに「直接移転」するため、地権者は建替えの為の移転が1回で済むというのも、大きなメリットと言えます。都心の既存オフィス街という
難易度の高いエリアにおいても、このような手法を用いることで再開発が可能になったのです。
2016年完成予定の大手町1丁目第3地区、大手町1-1計画B棟には、今まで大手町エリアに存在しなかった、サービスアパートメントや高級旅館といった、国際対応の居住施設・宿泊施設が誕生します。高級旅館は東京初進出の星野リゾートが展開します。外国からのゲストに国際ビジネスのエリアにおいて高級旅館を利用してもらい、‘日本のおもてなし’を体感してもらおうというのです。大手町1-1計画A棟には海外企業への支援センターも整備される予定です。また、災害時においても安定した電力供給が出来るよう自立型発電システムを取り入れ、BCP(事業継続計画)対応も整います。このように、新しい国際水準のオフィス街が、まさに今、誕生しようとしています。

歴史と伝統文化の町 日本橋の再生とは
かつて江戸五街道の出発点だった日本橋。日本の道路網の始点となっていたため、人の往来が盛んだった日本橋は、古くから商業と金融の中心地でした。日本橋は、三井グループの本社が建ち並び、丸の内の三菱村と並ぶ三井村と言われています。歴史と伝統文化が色濃く残り、老舗の店舗が集積する、まさに歴史と近代化が融合する街です。
現在、日本橋では、三井不動産が主体となって再開発が進められています。再生計画のコンセプトは、「残しながら、蘇らせながら、創っていく。」 国の重要文化財である三井本館や三越日本橋本店といった歴史的建造物が、この街には数多くあります。日本橋のシンボルタワーとなっている三井タワーも、その向かい側のCOREDO室町も、この歴史的建造物と調和したデザインです。この周辺では2014年完成予定の「室町東地区開発計画」が現在進行中です。複数の地権者が持つ5つの街区を一体で開発しているのには驚きます。
まさに地権者の日本橋への思いが一つになって、一つの街区を創り上げているのではないでしょうか。勿論、この再開発で完成するビルも歴史的建造物と調和の取れたデザインになります。2-3街区では、日本橋初のシネコンが誕生します。その裏手にある千年以上の歴史を持つ福徳神社では拝殿も再生され、憩いの場を提供します。1-5街区はオフィスと商業施設からなる複合施設が建設中で、ここでは中央区と共同で地下空間を整備中。東京メトロ三越駅前とJR新日本橋駅、三越日本橋本店、COREDO室町などと地下でつながるのです。災害時には防災拠点となり約3000人を収容するスペースを確保します。長く受け継がれてきた伝統文化を未来に残しながら、共存しながら、日本橋は再生していきます。

資料:三井不動産HPより
アジアヘッドクオーター特区として
今回ご紹介したこの丸の内・大手町・日本橋は、日本の伝統文化を残しながら、日本の中心地として国際水準のビジネス街へ商業地へと生まれ変わろうとしています。
東京駅周辺は、東京都が打ち出す「アジアヘッドクオーター特区」のエリアです。アジアヘッドクオーター特区とは、都市の国際競争力を強化し、海外ビジネスマンや海外企業のアジア拠点を東京に誘致しようというもの。その受け皿となるべくハイスペック且つ国際水準のオフィスや商業施設、居住施設、宿泊施設がここ東京の中心地に次々と誕生しようとしているのです。アジアヘッドクオーター特区としての役目をこの街がどう果たしていくのか、今後の東京駅周辺に期待が高まります。
参考:東京都HP/三菱地所HP/三井不動産HP