未来につながる吹き方を | フクロウのひとりごと

フクロウのひとりごと

愛知県在住のトロンボーン吹き、作編曲家、吹奏楽指導者。
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ツイッター(X)で少し前に物議をかもした話がありました。『コンクールで金賞を取れるけどそれで終わりの吹き方』と『ずっと続けられる吹き方』とどっちがいいか、的な話だったのですが、さて、どう思われますか。

こんばんは。
トロンボーン吹きで作編曲家、吹奏楽指導者の福見吉朗です。

 


 

 

  高校球児が…

 

冒頭の話、これってたとえば高校球児が甲子園で無理して投げて肩壊すみたいな話ですよね。
選手生命をかけてでも優勝したいのか、みたいな話。
これの是非については、きょうは論じません。
人それぞれいろいろな考え方があるのでしょうから。
ただ、ひとつだけ書いておくと…
子どもたちの、『その瞬間の望み』だけしか見ないのではいけないということ。
あっ、「子どもは成績(自分の実績)を取るための道具だ。潰れようが知ったことか」
なんて言った先生もいましたね…(呆)
 

 

  それで終わりの吹き方?

 

野球の場合は、肩を壊すとかありますよね。でも、楽器にそういうのあるの?
楽器でも身体を壊すことはありますよ。いろいろと。
わかりやすいところでは、腱鞘炎とか、顎関節症とか…
だから、ムリはいけません。
楽譜の音が並ばなければいけない、って、ムリして音を出す…
そしてコンクールでは満身創痍とか、奏法を崩してしまうとか…
ただ、そういうわかりやすいものでなくとも、
指導が(結果的に)間違っていたりムリをさせたせいで、問題をかかえてしまう…
そういう生徒をこれまでたくさん見てきました。
たとえば、粘膜奏法が見逃されてしまっているトランペットの子とか…
ほかにも多いのが…
 

 

  息のスピード?

 

見ていてわかるのですよ。なにを言われてきたのかが。
「とにかくもっと鳴らせ」、「息をもっと入れろ」、「息のスピードを速く」…
みなさんは言われたことはないですか。
たとえばある子は、息の多くが音にならずに通り過ぎてしまっていたのです。
「もっとそーっと息を出してごらん」…
もちろんそう伝えるだけではダメで、吹いて聞かせたり(トランペットでしたが)、
とある練習をしてみたり(ここでは割愛。秘密ではないのですが、書ききれないので)…
あとで顧問の先生に、「どんな指導をしたの?」と不思議がられましたよ。一変したので。
でも、こういう子、少なくないのです。
そのまま大人になって、すっかり音が出なくなってしまった人もいました…
 

 

  ベル上げろ?

 

トランペットやトロンボーンでは、これも少なくない…、「ベル上げろ!」
なかには、「審査員に向けて」なんてのもある。絶対オススメしません!
ベルの角度というか、マウスピースが当たる角度って、人それぞれなのです。
それとは違う吹き方にされてしまったせいで、不自由になっている子を何人も見ました。
また、これもほんとうに多いのですが…
身体を反って吹いている子。
息が吸えませんよね!
それを直してあげただけで、「息が倍以上吸える!」と言った子もいました。
でも顧問の先生の前では、以前の姿勢で吹くのですよね…(悲)
 

 

  まっすぐ伸ばせ?

 

「音を揺らすな」、「まっすぐ伸ばせ」、「もっと長く伸ばせ」…
それが、音が合う前提だと言っているような…
そう言われ続けたら、どうなると思いますか。
もちろんそのほかの状況によっても変わるのでしょうけど…
音を固めて、もっといくと力で押さえつけるようになってしまう。
いわゆる、『動けない音』になってしまうのです。
それでは、どんなに高さが合っていても、音が合うことはありません。
チューナーではぴったりなんだけど、どうにも合って聞こえない…
そんなところに何度も出会ってきました。指導者は気づかないのでしょうが…
それが進むと、ほんとうに響かない音になってしまいます…
まっすぐ伸ばすことなんて、少なくともいちばん大切なことなどではないです。

まだまだ掘り出せばいくらでもありますよ。
ムリをさせていること、不健康な奏法、促成栽培…
もっと健康的に演奏しましょうよ。
そのほうが、いいと思いますよ。コンクールに向けても、ね。

さて、不健康な奏法、していませんか。