みなさん、音楽するのに必要な耳、音感ってどういうものだと思われますか。たとえばメロディがメロディとして聞こえるのはなぜでしょう。楽器を演奏したり楽譜を書いたりするのに必要な耳とはどういうものでしょう。
こんばんは。
トロンボーン吹きで作編曲家、吹奏楽指導者の福見吉朗です。
夢のような音感?
少なくなったとは思うのですが、未だにこんなことを宣伝文句にしている音楽教室が…
絶対音感が得られれば、聴いた曲を弾けるようになります。
人生が豊かになる、夢のような音感。うちの教室に来れば出来ますよ。
これはもう、ほぼ詐欺に等しいですね…
まず突っ込みどころとしては…
聴いた曲を弾けたり書けたりするようになるのは絶対音感ばかりじゃないです。
ぼくは絶対音感はまったくないですが、弾けたり書けたり出来ますよ。普通に。
そもそも、音楽するのに必要な耳、音感って、どういうものなのでしょうか。
どういうものだと思われますか。
音楽を
音楽を音楽として認識できるのはなぜでしょう。
どういう音感が働いているのでしょうか。
たとえば、これ。
ETです。ハ長調で書きました。ほんとは何調か知らんけど…
たとえば最初の音から2番目の音への隔たり、これを感じるからメロディに聞こえるのです。
決して、最初の音を聞いて『C』だとわかるから、ではないのです。
C→G。これ、完全5度という音程ですよね。
たとえば最初の音がDになったとしても、そこから瞬時にその音程をつくる…
これも、ETですよね。
前の音との関係、調性の中でのその音の位置、
そういうものを認識するから、メロディに聞こえるし、音楽と認識出来るのです。
相対的
たとえば楽器を演奏するときに使う耳、必要な音感って、相対的なのです。
前の音に対してどうか、調性に対してどうか、回りの音に対してどうか。
そういう音感がすべてだと言っていいと思います。
つまりそれはなにかというと、相対音感と調性感なのです。
音楽の音に、絶対はないのです。
絶対音感と相対音感について、こちらの記事に書きましたね。
前の音に対してどういう音を出すのか、
その調性の中でどういう音を出すのか、
回りの音に対してどんな音を出すのか…
演奏するということは、そういうことです。
ソロでも、アンサンブルでも、合奏でも。
また、楽譜を書くということも同様なんです。
相対音感と調性感を
音楽するのに必要な、相対音感と調性感、それをこそ、育むべきだと思うのです。
コップを叩いて、「Cシャープ」とか言えば、他人を感心させることは出来るかもしれません。
でも、それが音楽に(演奏にも作編曲にも)役立つわけではないのです。
それは音楽とは関係がないのです。それよりも…
調性感があれば、少なくとも調性音楽、つまり世の中のほとんどの音楽は、聞き書き出来ます。
無理強いするつもりはないですが、移動ドを出来るようになる方がいいと思うのです。
相対音感と調性感を強化していくことで、音楽することにもプラスになるのです。
邪魔になる?
ところがもし、相対音感や調性感を獲得するのに絶対音感が邪魔になるのだとしたら…
(ぼくは絶対音感は全然ないので実感としてはわからないですが…)
ある音を、その調性の中の音だと捉える感覚を育むために絶対音感が邪魔だとしたら…
そういう話を時々聞くのですが…
もしそうなのだとしたら、むしろ、ない方がいいと思うのです。絶対音感。
絶対音がわかるがために相対的な耳を使わなくなるのだとしたら、
それは音楽をするのにむしろ邪魔な音感だと思うのです。
(長三和音の第3音が低くて気持ち悪いと言われた絶対音感持ちがおられましたね…)
そういう意味でも、絶対音感教育を売りにするような音楽教室は避けた方がいいかな、と…
『調性感を育てます』、『移動ドを出来るようになります』ならオススメなのですが…
フルート奏者の佐藤直紀さんも、こんなつぶやきをされています。
クリックして全文読んでみてください。
「絶対音感がある」というと、音楽の才能があるかのように世間では勘違いされているフシがありますが、実はあまり関係ありません。そもそも絶対音感があってもオンチな人はたくさんいますし、その逆もしかり。絶対音感があるのと音程感が良いのは全く別物です。「音名がわかる」程度の絶対音感を持って…
— 笛僧🇨🇿佐藤直紀 (@fuesou) February 26, 2024
さて、音楽に必要な音感とはどういう音感なのか、あなたはわかっていますか。
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