耳コピとはなにか | フクロウのひとりごと

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みなさんは耳コピってされますか。さて、どうやったら出来るのでしょうか。なにがまず必要なのでしょうか。音感でしょうか。耳コピにもいろいろあるとは思うのですが、音感よりもまず大切なことがあると思うのです。

こんばんは。
トロンボーン吹きで作編曲家、吹奏楽指導者の福見吉朗です。

 


 

 

  耳コピとは…

 

耳コピとは何でしょうか。
聞こえた通りに楽譜に書くこと?
聞こえた通りにおぼえて演奏すること?
もちろんそうなのでしょうけど、さて、では一体なにを聞くのでしょうか。
なにがまず必要なのでしょうか。音感?
ある程度の音感は必要でしょうけど、それよりも必要なものがあるように思うのです。
 

 

  ソロコピー

 

ひとつのパート、旋律やソロを耳コピするとき…
その音だけではなくいろいろなことを聞き取りますよね。
ニュアンスだったりアーティキュレーションだったりノリだったり…
じつはそれが大切だったりもしますよね。
そしてそれは、楽譜には書ききれないものです。
もし、聞き取って楽譜に書いてしまうと…、その楽譜を元に練習していると…
それはもう、『楽譜を読む』になってしまいますよね。
と、ニュアンスなんかどっか行っちゃいます。なので…
聞いておぼえて演奏する。できればそこに、『楽譜』を介在させない。
それも大切なのではないかな、と思うのです。
 

 

  合奏コピー

 

では、アンサンブルやバンド、吹奏楽やオーケストラ、ビッグバンド…
そういうものって、どうしたら耳コピ出来るのでしょうか。
聞こえたことを、とにかく書く?
まずひとつ言っておきます。どんなに超人的な耳を持っている人でも…
Tutti(全奏)で鳴っているフルオーケストラの音をひとつ残らず全部聞き取れる人はいません。
(録音物ならなおさらです)
耳コピが出来るというのは、そういうことではありません。
では、耳コピとは一体何なのでしょうか。
 

 

  再構築

 

ひとつ残らず全部聞き取ることは出来ない…
なら、どうするのか。
古墳の発掘とおんなじです。聞こえないものは補完するのです。
もちろん、ひとつひとつの音を聴くのではなく『響き』を聴くということも大切です。
補完するということは、つまり、こういうことだと思うのです。
耳コピとは、再構築すること。
ある意味、編曲と同じだと思うのです。
では、それが出来るためにはなにが必要なのだと思われますか。
 

 

  引き出し

 

自分の引き出しの中に、どんな音楽が入っているのか、だと思うのです。
語法や、音使い、和声や、スタイルや、オーケストレーション…
自分の中にあるものだから書けるのです。たとえ耳コピであっても。
自分の範疇の外にあるものは書けません。それはデタラメになるから。
たとえば曲にもよりますが、バーンスタインを採れといわれたら、ぼくはちょっと難しいかも…
なぜ、どういう発想で作家はその音を書いたのか、それが理解できるから書けるのです。
耳コピとはそういうことです。だから…
耳コピに大切なことって、耳を鍛えることよりも引き出しを増やすことだと思うのです。
音感なんて、そこそこあればいい。しかもそれは、相対音感。
もちろん耳も大切ですけどね。

さて、みなさんは耳コピ、されますか。


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