アンコンを聴いて思うこと | フクロウのひとりごと

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愛知県在住のトロンボーン吹き、作編曲家、吹奏楽指導者。
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アンサンブルコンテスト、終わったところが多くなってきましたよね。さて、参加されたみなさん、どうでしたか。いい演奏もいろいろと聴けたのですが、聴いていて感じた所感をいくつか書いていってみたいと思います。

こんばんは。
トロンボーン吹きで作編曲家、吹奏楽指導者の福見吉朗です。

 


 

 

  アンサンブルコンテスト

 

最近の印象…
ほんとうに邦人作品ばかりだなぁ、という感じです。
ほんとにたくさん出ているのですね…
そして、打楽器アンサンブルって減少傾向なんでしょうか。
ぼくが聴きに行った大会はたまたまそうだったのかな…
相変わらず、混成アンサンブルが多いですね。
それでは、気になった点をいくつか書いてみたいと思います。
 

 

  ステージに関して

 

ホールのステージで演奏するわけでしょ。ステージって広いですよね…
ステージのどっちかに片寄っていたりする団体、大会によっては少なくないのです。
なぜかたいてい下手(しもて/客席から見て左側)に片寄っている団体が多い。
それで減点されたりはしないでしょうけど、
でもどうせなら、見た目もきれいな配置でお客さんに見てほしい…
ステージって、まん中に目印(たいていはマイクなどを繋ぐプラグが入ったフタ)がある。
それをまずは見つけましょう。
目印なしでは広いステージ、どこがまん中なのかなかなかわからないですよね。

 

それから…

ステージの前の方で演奏した方が客席によく聞こえる、と思いがちかもしれませんが…

反響板の天板(天井の板)あるでしょ。あれの下にいないと音が届かないものなのです。

もちろんホールによって違いますけどね。

そんなわけで、あまり前の方で演奏するのはおすすめ出来ないホールが多いのです。
かといって、うしろ過ぎても変ですけどね。

 

 

  かまえに関して

 

これは金管、トランペットとトロンボーンについてなのですが…
アンサンブル配置ってたいてい、ベルが前を向いた楽器は両サイドに来ることが多い。
それなのにわざわざ、客席にベルを向けて演奏する団体がけっこうあるのですが…
これ、マイナスに作用している団体が少なくないように思います。
もちろん演出的意味を否定はしませんが…

金管楽器を録音するときって、ベルにまっすぐマイクを向けないことも少なくないです。
もちろん音楽の種類にもよりますが…
なぜかというと、ベルからの直接音って、良くも悪くも雑味があるからです。
ジャズなどのようにクリアな表現やサブトーン的な音なんかも録りたいときはベルに向ける。
でも、クラシック的な録音ではたいていベルの斜め方向から録ります。
それと同じですね。
「聴いてほしい人に直接ベルを向けてはいけない」と言った人もいます(誰でしたっけ…)。

そして、ホールには響きがあります。それを信頼することも大切ですね。
 

 

  演奏に関して

 

いい演奏もたくさん聴けました。が、ひとつ、提案があるのです。
取り組む楽曲、これにもし歌詞がついていて声で歌うとしたら、どんなふうに歌うだろうか、
という発想を持ってみたらどうだろう、ということ。
「きっと、そんなふうには歌わないよね」、という団体、少なくないです。
どんなふうにしたら『音楽』になるのかな、という出発点が、ここだと思うのですよね。
演奏するのは『音楽』なのですから。
アーティキュレーションの表現のしかた、強弱、それに、音程やリズム、テンポ…
歌ってみることによって解決することって少なくないのですよ。
 

 

  音が合うということ

 

歌うということで、もうひとつ…
「どんなにピッチが正しくても、その音では合わないよ」という団体も少なくない。
楽器の巧稚というよりも、自分の中で歌っているかどうか、なんです。
管楽器って、そのルーツはきっと歌だと思うのですよね。歌の延長なんです。
チューナーで高さを合わせても、それで音が合うわけではないのです。
たとえ高さが合っていても合わない音ってたくさんあるのですよ。
逆に、高さが多少(あくまでも多少)ずれていても、合って聞こえる音もある。
そういう意味でも、歌っても合わせてみて欲しいのです。

聞く人に伝わる演奏をするには、気持ちとか積極性とかそういう精神面も大切でしょうけど、
でもそれだけでは、いい演奏は出来ないのも事実。
どうしたらいい音を、いい『音楽』を、聞く人に届けられるだろうか…

そこが、いちばん大切なところなんです。

さて、アンサンブルコンテストに出られたみなさん、納得の演奏が出来ましたか。