どうして1枚のパート譜に複数パートを書くのか | フクロウのひとりごと

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愛知県在住のトロンボーン吹き、作編曲家、吹奏楽指導者。
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管楽器のみなさん、ひとつのパート譜に複数パート(1番と2番とか)が書いてあるパート譜に当たったことはありますか。なぜ複数パートを書くのでしょうか。なにか利点はあるのか、また、そういう楽譜になる事情は…

こんばんは。
トロンボーン吹きで作編曲家、吹奏楽指導者の福見吉朗です。

 


 

 

  パート譜

 

複数パートが1枚のパート譜に書かれた楽譜、読みにくいという声があります。
みなさんはどう思われますか。
アンケートしてみました。



なるほど…

絶対にいや、と、出来れば別に、を合わせると、65%…

2/3近くの人が、別にしてほしいと思っているわけです。

一方で、むしろありがたいと思っている方も13%。

 

 

  複数パートが書いてある楽譜

 

複数パートが書いてある楽譜、特にホルンに多い気がします。
あれは2本セットで使う楽器だからですかね?
ホルンはそう書くものなのかな、と思っていたこともありました。
そうそう、2パートならまだいいのですが…
トロンボーンの楽譜で、1枚、ひとつの段に3パート書いてある楽譜を見たことがあります!
あれはさすがに、「こんなものが読めるか!」と思いましたよ。

でもね、たとえばピアノの楽譜って、常に3~4パートくらい見ている感じだという声もありました。

それを一人で全部演奏するのが、ピアニスト…
 

 

  複数パートが書いてある利点

 

さて、複数パートがひとつのパート譜に書いてあることの利点って、なにかあるでしょうか。

  • 他パートがやっていることや関係がわかる
  • ハーモニーをイメージしやすい

こんなことはあるかもしれませんね。
ほかには…
となりの人の休みを数えてあげられる?
1番の休みを数えてあげるのも、2番の仕事、なんてことも聞いたことがあります。
ぼくは、余裕のある範囲で人の休みも数えていますよ。
もしもの時のために、ね。
とはいえ、「やっぱり別に書いてよ」という声は少なくないですよね。
では、どうして2パート一緒に書くことになってしまうのか、その事情とは…
 

 

  どうやってつくるのか

 

パート譜って、どうやってつくっているのかというと…
手書きの時代には、写譜屋さんがつくりましたよね。
スコアにはもちろん、2パートが同じ段に書いてある。
これを、それぞれ別のパート譜にするのか一緒に書いて1枚にするのか、どっちがラクか…
紙も少なくてすむし…
そしてコンピューター浄書になると、もちろんスコアからパート譜をつくるのですが…
 

 

  スコア譜

 

スコアを見ていただければわかると思うのですが…
特にオーケストラのスコアでは、1stと2ndを同じ五線に書きます。
吹奏楽でもホルンはたいてい、2パートをひとつの五線に書きます。
さて、想像してみてください。
もしこれを1段1パートにしてしまうと、とても読みにくいスコアになってしまいますよね。
パート譜は、スコアからつくります。と…
複数パートが一緒に書いてあるパートは、そのままではパート譜もそうなって出来る。
そういうパート譜であっても決して、コンピューターが打ち出したそのままなんかではなく、
手間暇かけてきれいに整えられているのです。
 

 

  1枚1パートにするには

 

さて、もし、複数パートを一緒に書くのではなく1枚1パートの楽譜にしようと思ったら…
まず、同じパート譜を2つ作ります。1st用と2nd用。
そして、そのそれぞれのパート譜、1st用なら2ndの音を、2nd用なら1stの音を消していきます。
最初から最後まで、全部!
そして、そのそれぞれについて、手間暇かけて整えていきます。
どうでしょう、パート譜をつくる手間が倍以上かかるのです。
しかも、手間が増えれば間違う可能性も増えます。人間のやることですから、これは仕方ない。
コンピューター浄書って、パート譜はスイッチポンで自動的に出来ると思っている人がいますが、
それ、とんでもないです。
けっこうな手間なのですよ。
〆切に追われる仕事で、それだけの手間はかけられないという事情もあります。
出版社なら、それだけ紙も余計に要って楽譜点数も増えるという事情もあるでしょう。
だから複数パートが一緒に書いてあるパート譜になる、ということなのだと思います。
時間もお金も決して、限りなくあるわけではない、そして、

楽譜をつくるのにどれだけの手間と時間がかけられているのか、
そのあたりのこともわかっていただけるとありがたいと思うのです。

さて、みなさんは複数パートが一緒に書いてある楽譜、どう思われますか。