作編曲講座2 | フクロウのひとりごと

フクロウのひとりごと

愛知県在住のトロンボーン吹き、作編曲家、吹奏楽指導者。
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作編曲講座、昨日はいろいろなラインの調和について少しだけ書いてみましたが、きょうは和声、和音を組むときのお話、最低限ここを押さえろ、ということを書いてみますね。でも、ちゃんと勉強した人には退屈な話…。

こんばんは。
トロンボーン吹きで作編曲家、吹奏楽指導者の福見吉朗です。

 


 

 

  TSD

 

和音って、たいていは、次の3つに分類出来るのです。
トニック … 家。安定、安心。出発するところ、帰ってくるところ。
(トニックに帰って来ずに終わる音楽もありますが…)
サブドミナント … 解放感、のんびり、自由。
ドミナント … 緊張感。トニックに帰りたい、または、解決して安定したいという和音。
この、3種類。
これが、いろいろに組み合わさったり繰り返したりして、和声は進行していきます。
家にいる(ステイホーム)だけじゃつまんない、お外の解放感、

でもやっぱり帰りたくなって緊張感…
たとえばそんな繰り返しなのです。そして…
基本的には、ドミナントからサブドミナントに戻ることはありません。

そっちへは行かないのです(D→S進行)。
もちろん、世の中には例外もありますが…
 

 

  限定進行

 

まずは、限定進行。
この音は、こう動かなければならない、というやつです。
それは、冒頭の画像に示した音。
ドミナント(たとえばG7)からトニック(たとえばC)に解決するときに…
ドミナントの第3音(G7のシ)は、トニックの根音(Cのド)へ、
ドミナントの第7音(G7のファ)は、トニックの第3音(Cのミ)へ。
これ、決まりです。違うところに行かないでください。シ→ド、ファ→ミ。
基本的には、ドミナントの第3音は2度上がる、ドミナントの第7音は2度下がる。

ハーモニーの中の音だけではなく、昨日書いた各ラインでも基本的にはそうです。
なぜかというと、その動きこそがドミナントを特長づけるものであり、ゆえに、

そうしないと不自然だからです。演奏していて違和感が…
(ドミナントはVだけではないことに注意、トニックはIだけではないことに注意)
ただし、有名作曲家の楽曲でも、これを守っていないものはあります。それはたとえば…

昔の、まだバルブがなかった頃の金管楽器って、出せる音が限られていたのです。

だから、限定進行を守りたくても守れなかった、という場合などですね。
 

 

  平行五度

 

やってはいけない動きっていろいろあるのですが…、ひとつ、

これは通常避けなければならないという動きが、平行五度。
平行五度というのは…

2つの声部(楽器、パート)が、完全5度の音程を保ったまま、違う所に行くこと。
たとえばこういうことです。



ハーモニーの中の動きでも、各ライン同士の動きでもそうです。
なぜかというと、その動きだけが不自然に強調されてしまうからです。

上の例でいくと、たとえばこんなふうにすれば平行五度を避けられますね。

 


聴いて、おぼえてくださいね。
でも逆に言えば、そういう効果が欲しいときには、そう書けばいいということですね。

(スモーク・オン・ザ・ウォーターってご存じですか?)
 

 

  低音に注目

 

導音ってご存じですか。

音階の、第7音。Vの和音の第3音。

古典和声の4声体では、これを重複させてはいけないことになっているのです。

もちろんパートがたくさんある時は問題ないのですが、ただ、こういう場合…

 

 

低音(バス、ベース)に導音が来ています。

こういう場合は、上のハーモニーからは導音を省くのがCool。

こんなふうに…

 

 

低音って、特別なのです。

そして和音にもよりますが、導音に限らず第3音ってちょっと微妙で繊細な音(特に長3和音)。

ベースに来ていたら上からは省いても、全然大丈夫なのです。

 

 

  メロディとコード

 

次に、たとえばメロディに対してコード、和音をつける時…



たとえばこれ、ちょっとよろしくないと思いませんか。
なぜでしょう。
2小節目の後半、メロディが『ドシラシ』と動いているのに、ハーモニーにシがあります。

ここのコードはG7。メロディは、sus4から解決するようなニュアンスを求めているのですよね。

だったら、ハーモニーのパートからはシは省いた方がスッキリしますよね。

こんなふうに…

 

 

メロディは何を求めているのか、それをよく感じ取ってハーモニーをつける。
これ、忘れないでいたいことです。

和音、和声のことについてごくごく簡単に書いてみました。

でもこれは、ほんのほんの入り口に過ぎません。 

明日はまたちがうことについて書いてみたいと思いますね。