梅ひらく通過列車の風を浴び

何も予定がない午後。いい天気なので、腹ごなしに近所へ散歩に出かけた。自宅の近辺は、ＪＲ学研都市線の線路を挟んで、昔と大きく風景が変わった場所と、昔のままの風景が残る場所とにはっきり分けられる。線路下をくぐって、昔の風景が残る場所の途中にある、一本の梅の老木。そこに白い花がチラホラ咲いていた。線路には7両編成の快速電車。勢いよく走って、梅の花を揺らしていた。まだ寒さが残る季節ではあるが、少しずつ春が近づいていることを実感して詠んだ句。

この道は、中学時代に通学路として利用していた道。線路の向こう側は、すっかりその面影はなくなってしまったが、この梅の花が咲いているところは、一部遊歩道が新しく開通したり、ハイキングコースとして整備されたりはしているが、基本的に昔と変わっていない。遠出が簡単にできなくなってしまった今の季節。ゆっくり歩きながら、昔を思い出していた。この梅の花から線路の向こうを改めて眺めると、学生時代は将来この田園風景がここまで立派な住宅地になるとは想像もつかなかったという事。道が新しく出来る事は当時から聞いていたが、それは卒業後暫く経ってからの予定で、その頃本当にのどかな田舎だったので、いい加減そんな風景に飽き飽きしていた事などを思い出していた。年寄みたいなことを言うと、ここまで変貌を遂げて、少し寂しい気もするが、線路の手前の田園風景が今でも残っているので、少し安心している。これからも、線路の向こう側とこちら側、風景の住み分けがずっと続いてほしいと願うばかりだ。

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