「当駅の内装はグレシアンスタイルにまとめられております…」
とアナウンスがあるが、どこがグレシアンスタイルなのかがよくわからない。
たしかにガラス張りの巨大な額の内部には更に磨りガラスの装飾が施されていたりもするが、植物をモチーフにしたものなのか、神話や神殿をモチーフにしたものなのか、具体性を欠いていてまるでわからない。
シンプルといえばシンプル、複雑といえば複雑な捻れた光彩を放つ幾何学模様…むしろ現代的なデザインであり、そこに太古の息吹は感じられず、レトロな感慨を呼び覚ますような何ものもない。
そういえば、丸い球状の照明を支える金属製のカバーのデザインがグレシアンネックのドレスに似ているが……たったそれだけのことをアナウンスしたということなのか?