REVIVAL

 22日、23日で開催されたTAKASAKI CITY ROCK FESが無事終了した。TRAVISは22日に高崎アリーナという馬鹿デカいステージに立たせて貰った。一部ではあるが県内同郷のライブハウスつながりのあるバンドも多数いたので不思議とアウェイ感は無くて、あっ、という間に終わった5曲20分間だった。時間自体は短かったが20分なら20分なりの調整をする所が気合を入れすぎて1曲目から走りすぎ、速攻で喉を潰すという始末(苦笑)。いつまで経っても学ばないと反省しながらも、凄く楽しかった。久しぶりの馬鹿デカいステージで気持ちが通常より高鳴りオーディエンスに対するモーションもいつもと違ってたと思う。なのでライブ後にデカいステージ映えすると嬉しい言葉も頂いたし、更にオーバーアクション過ぎたのか青臭すぎて恥ずかしかったともお褒めの言葉を頂いた。「青臭すぎる」。最高の誉め言葉。9月にOVER50を控えるおっさんがまだ青春を引きずってる姿をさらけ出した気分。あ、俺の事おっさんという奴はベティダックリングのタイキ位なので訂正。OVER50を控える兄さんだな(笑)。まっ、とにかく初期衝動だ。22年目のTRAVISは限りなく初期衝動に向かっているし、今後も更に初期衝動を忘れずに向かいたいと思ってる。

 そんなタイミングで更に初期衝動全開のヤツらが今年「REVIVAL」というミニアルバムを発表した。彼らの名前はTHE PRISONER。彼らとの衝撃の出会いは以前ブログに記しているので過去のブログを読んで貰いたい。昨年より、ヴォーカル潤一郎の心臓疾患による療養。メンバー全員で今後の活動を悩んだ結果潤一郎が戻ってくるまでNANA GNAR GNARの単独メインヴォーカルとして残メンでの活動表明。彼らは自ら茨の道を選んだ。そしてベースのタカシの一時戦線離脱。MICHIAKI LONDONのキーボードからベースへの人事異動通達。とにかく激動だったに違いない。来月大阪公演でタカシが戻ってきそうな嬉しい知らせを今日オフィシャルSNSで確認したが、とにかく不謹慎ながらピンチを楽しんでいるとしか思えない。そんな不謹慎な素晴らしい奴らが地べたから這いつくばって作り出した音源が「REVIVAL」だ。

-許されなくてもいい 許してみればいい-
-自分の事なんて嫌いなままでいい ブチ壊せたらいいね-
-いつも心に毒針-

 「あ~あ!」と絶妙な叫びの長さから始まる1曲目の「毒針のニードル」。正真正銘初期衝動。全てに通ずる事だけど、正直パンクを気取っているから自由だってわけじゃ無い。パンクに出逢って36年程。自分は凄く狭い視野のパンクというフィールドの中だけでもクソったれと感じることは山のようにあった。勿論、生活をしているだけでも更に山のようにある。けど、何度も裏切られても、失望して自分が路頭に迷っても、裏切れないのがパンクロック。嫌いになれないのがパンクロック。そんな感情むき出しのパンクロックを青臭く吐き散らかす素晴らしさを代弁をしてくれて、改めて感じることが出来たのが「毒針のニードル」。一瞬でフェイヴァリットソングになったよ。「いつも心に」だ。
 また初期衝動全開なのはミニアルバムの最後を飾る「PUNKS NEVER DIE」も。潤一郎とオサムが10代の頃のTHE JAPSの曲だ。自分と年代が近いというのもあるが「NEVER DIE」とか「BROKEN」とか「OF THE WORLD」なんてフレーズが凄く響く。自分もかつて10代の頃曲の作り始めの頃、似たようなフレーズ使ってたもん(笑)。懐かしいフレーズってより一周して新鮮。痺れるの一言。
 NANA GNAR GNARワールド満載の「ALL THE LIVE HOUSE」。とにかく愛を感じる。10代の頃、仲間もいなくて独りでライブハウスに行ってさ、誰とも話さないで帰る日もあれば、話したことはないけど、何度も通ってるうちにお互い顔を認知してライブ中に会い目だけでコンタクトをしたり、友達ってわけじゃないし、特に都内とかでの10代の頃はみんな大人だしコミュニケーションをとることなんてあんまり無かったけど「確かな場所」だった。そして今も変わらず「確かな場所」。シンプルな中でそんな事を思い出させて貰った良曲。毎回感じるけどNANA GNAR GNARの歌は改めてキュート。
 自分は「車」とか「バイク」とかをモチーフにした曲がすごく好きで、スタークラブの「GO!GO!BACKWARD」とか「GO TO HEVEN」、THE MODSの「壊れたエンジン」、TH eROCKERSの「涙のモーターウェイ」、THE ROOSTERSもCOVERしてる「ROUTE66」。ちょいと世界観が違うけど恐らく小説「路上」をモチーフにしている(と、思ってる)ブランキージェットシティの「SWEET DAYS」とかね。なので「110 PRO」を聴いても世界観が広がるというか、永遠のロマンというか、自分も車の仕事にちょびっと携わってるのもあるのでモーターサイクルに対する愛とリアル感がダイレクトに感じる。大好きな曲。
 「ゴジラセーター」なんか滅茶苦茶ドンピシャ。自分も基本かまってちゃん気質と思うので「あ~(汗)」と思ったり、そうそう、めんどくせえ奴ってこんな感じと共感したり、歌詞が身近な事柄を書かれているだけに吸収しやすい。リアル。「ゴジラセーター」が「こじらせた」やっぱり!とボロックスのインタヴューを読んだ時当てはまった感じがして嬉しかった。
 そして、「拝啓 グリーン・グリーン」。これは超凄。問題作。潤一郎が以前出版した本を読んでるからこそ更にリアルに感じたけど、あの有名な「グリーン・グリーン」のアンサーソングというのか?シンプルな楽曲と歌詞の中に秘められた溢れ出そうな感情が届く感覚。個人的な話だけど、小学校の音楽の授業の時、「グリーン・グリーン」を歌いたいと先生によくリクエストする女の子がいたのよ。その女の子のお父さんが確か目が不自由でその子にとって大切にしている曲だったと思うんだ。そうしたら、クラスの何人かが、その女の子のリクエストを声を出して馬鹿にしてさ、後にしっかりと歌詞を読んだら、自分もたいして良い奴では無かったけど、なんとなく不快感的な違和感を覚えたのを思い出した。「拝啓 グリーン・グリーン」を聴いて。こんな感じのめぐりあわせで過去を思い出せるのは素晴らしいと思う。この曲はそんな自分が偉そうに語れるほどではないが、とにかく問題作。そしてすげえ曲。ミュージックビデオもとにかく痺れるよね。さらに確信犯的なニュアンス。

 「再燃」。

 それが彼らの今導き出した方向性だと思う。THE PRISONERはアルバム毎に色々な色と感性が分かりやすく異なっているバンドと認識している。どの音源もとても好きなんだけど、特に前作「BRAVE NEW WORLD」から「KEEP ON ROLLING E.P」、そして今回の「REVIVAL」。胸の高鳴りしかないよね。正直マインドな部分からサウンド的な部分まで凄くバンドマンとして参考になるが、それ以上にTHE PRISONERの今後は良い方向にしか向いてない。あの「REVIVAL」熱量を聴いたら良い事しか起こらない。それは確信できる。だって最高だもの。