奇人たちの晩餐会
『奇人たちの晩餐会』 (‘98/フランス)
監督:フランシス・ヴェベール
とてつもないタイトルだ。B級ホラーとかパゾリーニの作品みたいな、そうとう悪趣味な映画を想像する人もいるんじゃないだろうか。でもこの作品はれっきとしたコメディだ。それも、それこそ三谷幸喜なんかが喜んでパクってしまいそうな上質の密室劇だ。
主人公の男ブロシャンは、週に1回、バカを客として連れてきてはそのバカさ加減を競うという晩餐会の常連。
毎回「こいつこそ!」という選りすぐりのバカを持ち寄ってみんなで楽しんでるやつだ。
そんなブロシャンが運命ともいうべき偶然にみつけた今回の目玉バカがピニョン。晩餐会の参加の前に一度会ってみたいとブロシャンが家に呼んではみたものの、筋金入りのバカなもんだからさぁ大変。
こんな感じでストーリーが始まっていく。観る前に想像していたのは、タイトルどおり変な奴がたくさん出てきて、そいつらを晩餐会の参加者と同様に小バカにしつつ見ていくって感じだったけど晩餐会の様子はほぼなく、家の中という密室だけでストーリーが進行するドタバタコメディだ。
主演のこの二人のやりとりがボケとツッコミのコントのように展開していって、観ているこっちも同じようにピニョンにツッコミを入れたくなってくる。はっきりいって笑えます。ほんとバカだし。でも、鼻で笑うような小バカにしてみるっていうんじゃなく、どことなくほのぼのして優しい感じがした。
特に主演のピニョンを演じたジャック・ヴィルレのバカさ加減はバカにしておくにはもったいないくらいのすっとぼけたバカ演技で最高に面白い。
ラストはちょっとハートウォーミングな感じで終わるかな?って思ったらオチもやっぱりバカでした。
筋金入りのバカは家には入れないほうがいいでしょう。だってバカですから。
ハリウッドのコメディとはまた一味違う、フランス映画のコメディというのは
あまり観たことがなかったけど、なかなかどうして密室劇でここまで笑わせてくれれば大満足だった。
ブラックユーモア満載の80分ととても短い作品なので、さくっと笑いたいときにはオススメです。
※ピニョンを演じたジャック・ヴィルレは2005年1月28日に53歳の若さで亡くなったそうです。
バカバカ言ってごめんなさい。安らかに・・・