関西の中学の偏差値下落の理由④ | 2023年中学受験するよ(たぶん)

2023年中学受験するよ(たぶん)

2023年,最終的に,長男が中学受験(関西)に挑戦しました。
その記録等々。

こんにちは。りょうたろうです。

 

①大教大附属が偏差値を落とすことに

なった要因を考えていたら、

…うまくまとめることができず、

変に長くなってしまいました。


 大教大附属校は、私が子供の頃、

憧れの学校でした。

運動ができて、スマートでかっこよく

なんでもできる感じの近所の同級生が

通っていたのが大教大付属校だった

のです。

 自分はそこに通えなかった、という

ことがあったので、その分、思い入れが

強いのです。


 さて今回は、

(4)大教大附属中の受験システム

に関するお話しです。

これは,他の原因とも相まって,

結構大きな影響を受けたと思います。

 

 こういう言い方をするのは乱暴ですが,

あえて言うと,

幼稚園から高校まで連結している学校が、

大学合格実績を上げるためには,

やはり中学・高校の段階で,

成績のよい入学者を

数多く取り込む必要があると思います。

 

 この点、大教大附属中は、

全人格的に優れた生徒さんを取りたい、

と思いもあってか、

さまざまな試験を課して、

多角的に選抜をしようとします。

そのため、

①1次試験(国語+算数),

②2次試験(学校によって異なりますが、

理科・社会に加え,いわゆる副教科だったり,

面接・ディベートだったりします)

と、複数日に分けて試験が実施されます。

(昔は、これに加えて「抽選」もありました。)

 このように,合格までには

手間がかかるシステムになっています。

 

そして、

大教大附属中は、合格したら辞退できない旨

受験前から念押しされたり、

他校の試験日に合わせた形で

合格(予定)者が召集されるなど、

「専願」の取り扱いであり、本来

合格したら入学しなければなりません。

そのようななか、

大教大附属中は,入学試験の内容や

状況を、積極的には開示してきませんでした。

 

 そうなると、受験生の家族の心情からすれば

特別なメリットがなければ、大教大附属中を

積極的に受験しよう,ということには

はなりにくいでしょう。


 この点、大教大附属のメリットは、

〈1〉学費が安い(公立校と同じ)

〈2〉進学実績がよい

〈3〉真面目で落ち着いた校風

〈4〉立地等々

といったところだと思います。

 このうち、〈1〉は大きなメリットですし、

「安いから国立に行かせた。」とおっしゃる

保護者の方は多いと思います。

 しかし、実際、国立大附属中を目指される

ご家庭は、教育に大きく投資することが

できる、ある程度経済的な余裕のある

ご家庭が多いようです。最終的には、

ダブルスクールに通う方がほとんどですし。

 そうすると、「安い」だけで目指すわけでは

ないと思います。

 また、〈3〉〈4〉も相対的なものです。

 そのため、結局のところは、

〈2〉進学実績が決め手とするご家庭が多い

と思われます。


 ここで、地味ながら、

影響を与えたのは、関西の受験日程です。


 1994年までは,

3月1日が関西の中学受験の統一受験日で,

大阪・兵庫・京都の私立中学の多くは,

それ以降に入学受験を実施していました。

 そして,

大阪教育大学附属中は、

2月の第1日曜日以降を受験日としていました

(なお,確か、東大寺学園や奈良学園など、

奈良の学校の多くも,この2月第1日曜日を

受験日としていました。)。


 試験は1週間くらいかけて実施され、

2月の真ん中あたりには合格者が決まります。

 そして,大教大附属中の合格者は,

3月1日は他校を受けずに、そのまま

入学していました。

 つまり、併願校に先駆け受験が行われて

いたので、先に大教大付属中への合格が

決まっていれば、そのまま入学していた

のだと思われます。


 ところが、1995年からは、関西私学の

統一入試日が2月1日に早められ(ただし、

1995年に阪神大震災が起きたことにより

実際には流動的でしたが。)、

2006年には1月第3土曜日に固定と

なりました。

 1995年以降2005年までの受験日程は

確認できなかったですが、

 現在、大教大附属中の受験日(初日)は、

附属天王寺が上記統一日に,

そして,附属池田と附属平野の受験日

(初日)は、

附属天王寺の合格発表後となっています。


 このような前提のもと、まず附属天王寺中の

状況を検討してみます。

 附属天王寺中の志願者は、現在では、

競合校と思われる甲陽学院、大阪星光、

四天王寺を併願することができなくなり

ました。

 そして、1995年以降の日程でも、

これらの中学と受験時期が被っており、

どちらを受験するか、という問題が生じて

いました。


 加えて大教大附属中学の募集人員は

毎年流動的で,しかも少人数です。

 そうなると、受験に関する情報があまり

開示されないこと(合格の確実性に対する

不安)と相まって、私学受験に傾くご家庭が

増えたと思います。


 実際、このような雰囲気が反映されてか、

2000年ころ(すなわち、大教大附属中が、

私学よりも先に受験が行われなくなった

世代)から、大教大附属の合格実績が

徐々に下がっていきます。

 この下がりつつある合格実績を見ると、

「大教大付属を受験する,ということで

よいのか。」というさらなる迷いが出てきます。

 あとは、そのスパイラルの繰り返しです。

 その結果、附属天王寺中の合格実績が

下がっていったように思います。


 附属池田中に関しても、競合しうる

私立中学(甲陽学院、六甲、高槻あたり

でしょうか。)との関係で、志願者が

減ったものと思われます。


 附属平野中にも、私学との競合という

事情は当てはまります。

 それに加えて、立地的にも附属天王寺の

志願者と競合しています。

 そのため、現在、附属天王寺中の

合格発表後の試験日程となったことにより、

「附属平野中」の志願者の多くは、

まずは「附属天王寺中」を受験するため、

附属天王寺中に合格すれば附属平野中は

受験しない、いう流れができてしまいました。

(また、附属平野中は,小学校からの

内部進学を増やして,中学外部入学の枠を

さらに狭めていた時期があり、さらに

外部受験しにくい環境にあったようです。)


 全国的にみても、国立大附属校の大学
合格実績が下がってきているところが
多いようです。
 外からですと、大学合格実績しか見ないので、
どうしたのだろう、大丈夫か、なんてつい
思ってしまいますが、大教大附属校をはじめ、
それぞれの学校は、その校風を受け継ぎながら、
よいところを伸ばしていこうとされているのだ
と思います。
  
 そういったところを考えて、
子どもの進学校の候補に、とも考えるの
ですが、
…どうなるんでしょうね。