ナナコが死んだ。
私が20歳の誕生日を迎える1ヶ月前だった。
急に吸いたくなった煙草。
それまで臭いすら大嫌いだった。
初めて買った煙草の2本目を、喫茶店でふかしていたときだった。
仲の良かったグループの子から、連絡があった。
「…え?」
内容は、ナナコが死んだということ。
それから、葬儀の日取りのこと。
私の頭の中はそのときに酷く冷静で、その経緯を相手に順を追って説明を求めた。
答える相手は酷く動揺していて、私は未だに彼女の死因がよくわからない。
首を吊った自殺だとか。
感電した事故死だとか。
ただ、彼女は急に私にはもう会えない場所にいる事実だけが残った。
その1ヶ月前。
ナナコは私を含めた仲の良かった高校の同級生と、恒例の飲み会をしたばかりだった。
また飲もうねと、約束もした。
だから葬儀のときも現実味がなくて、哀しさは見つからなかった。
涙で頬を濡らすナナコの母親を見ながら、私はただ、見送った。
葬儀が終わって暫くして、それは襲ってきた。
自責。
それが一番相応しい感情だと思う。
飲み会のとき、何故気付かなかったのだろう。
そうでなくとも、彼女は何かしら溜め込んでしまう性格で、いつも何かを言いかけてた。
「なんでもない」
これを口にした彼女が頑ななことを知っていた。
だから、無理に訊かなかった。
「話したくなったら、もしくは本当にしんどくなったら、聞かせてね?」
…なんて。
お利口さん気取った発言していた私は馬鹿だ。
浅はかだった。
無理やり訊いていれば。
例え嫌われても、押し通せば。
彼女はまだここにいてくれたかもしれない。
今日みたいに、実家から大学の寮に戻った後、1人で泣いた。
悔しかった。
哀しかった。
私は、頼って貰えるような友達じゃなかったんだ。
頼りなくてごめん。
力になってあげられなくてごめん。
もっと、色んなこと話したかったよ。
色んなこと一緒に経験したかったよ。
過去になんて、したくない。
もどってきてよ。
会いたい。
私なんかより、ずっと愛されてた。
ずっと必要とされてた。
なんで死んだのが私じゃないの。
馬鹿じゃない?
馬鹿じゃないの?
ナナコをかえして。
5年経った今でも、哀しみが鮮明なの。
発作的に涙が止まらなくなるの。
もう、好きなひと達が死ぬのはいや。