先日、アニメ映画のヒロインの声を担当した若手女優が、ずっと憧れていた俳優と共演出来て「すごい楽しかったです」と言っていました。テレビのインタビューの一場面です。テロップは、「すごく楽しかったです」となっていました。〔下線は引用者。以下同〕
「すごい楽しかった」「すごいうれしい」…という言い方は、最近よく耳にするような気がします。先日、これもテレビで、若い女性タレントがこのような言い方をしたとき、予備校国語講師でタレントのHが「すごい、じゃなくて、すごく、です」と注意していました。確かに、このような場合の形容詞「すごい」の活用形は連用形だから「すごく」なんですよね。…
すごかろ〔未然形〕
すごく〔連用形〕
すごかっ〔〃〕
すごい〔終止形〕
すごい〔連体形〕
すごけれ〔仮定形〕
ところで、最近よく耳にするような気がする、と上述しましたが、実は、今に始まったことではないようです。『明鏡国語辞典』の「すごい【凄い】」の項は、以下のようになっています。
『明鏡国語辞典』第二版(2011)
すごい【凄い】
〔形〕
1 物事の程度が甚だしく尋常でないさま。ものすごい。
「今日は人出がすごい」「すごい拍手がわき起こる」「すごく大
きな家」
|語法| 話し言葉では、「すごい」を「すごく」と同じように連用修飾に使うことがある。「すごい悔しい」「お母さん、すごい怒ってたよ」
2、3 (略)
〔用例中の、見出し語を示す記号 ( ― ) は、
文字に変えさせていただきました。 =引用者〕
若干の表現の違いはあるものの、下線部分は『明鏡国語辞典』初版(2002-2008)にもありました。つまり、2002年にはすでに、「すごく」とすべきところを「すごい」と言う現象があったのですね。…