土曜日夜。
マンションの階段の途中に、名前がしっかりしてそうな7cm程の虫がいた。
カミキリムシ風。
大して動きはしないが、階段の真ん中を陣取られソコソコのお邪魔虫。
そいつは日曜の朝に一匹増えていて、その夜にはもう一匹増えていた。
そして見かける度に、それぞれが徐々に上の階へと上がってきていた。
何かの前兆ではないかと疑うペース。
このまま日を追うごとに増えていくのではないかと不安になった。
日曜深夜、とうとう一匹は部屋の扉の前に辿り着いていた。
明日の朝、どうなっていることか。
まともに出勤出来るのか。
駐車場へは辿り着けるのか。
尽きない不安を募らせながら
準備を済ませ寝床についた。
~ 翌朝 ~

半分以上、虫のことを忘れた状態で扉を開ける。
部屋の前。
見覚えのある部位たちが、緩やかな風で転がる程散らばっていた。
あ、あの触覚は、、、羽は、、、
階段を降りていくと、まさに惨殺と呼ぶべき姿で、名前がしっかりしてそうな虫の遺体が転がっていた。
おそらく、計4匹。
誰だ誰だ。
まぁ、カラスなんだけど、多分。
カラスが早めの朝食にと全て食い散らかしたのだけど、多分。
はじめ、管理会社かなと思った。
うちの管理会社親切で仕事早いから。
入居者に女性多めなので、その辺の仕事は特に早いのか、と。
が、さすがに惨殺することはないだろうと。
だとしたらやり過ぎだろうと。
部屋の扉の前にその虫の長い足だけ丁寧に置いてかないだろうと。
カラスです、多分。
手前勝手に、一方的に、「あざす」と一言。
この間の夕方やたら煩かったの許すわ。
つまりは、単純に、俺は、虫が嫌い。
もう字が嫌い。
訓読がチュウって頭来る。
つまりは、単純に、俺は、虫が嫌い。
