「ほとんどの人間はね、『言いたいこと』しか言わないんだよ。『言うべきこと』じゃなくて『言いたいこと』ね。あるいは『言っても言わなくても、どうでもいいこと』‥‥‥そういうことばっかり言う。ぺらぺらとくっちゃべる」
漫画家志望の引きこもり・梶真琴は、ある日行きつけの喫茶店で、怪しい男を目撃する。余見透と名乗るその男は、自分が《死神》であり、死んだことに気づかず現世を彷徨う魂たちを、あの世へ送るのが仕事だと宣う。
半信半疑のまま彼の仕事を手伝ううちに、それが嘘ではないことを梶は確信するが‥‥‥。
死は突然に訪れる。平穏な老後に、いつもどおりの毎日に、あるいは幸福の絶頂に。
この物語のキーマンである死神は、私が今まで目にした死神キャラの中でもダントツで嫌な奴です。
人間を見下す。死者への暴言を平気で口にする。優しさや愛情をカケラも持ち合わせておらず、またそれらを理解することもできない。その仕事ぶりは残酷で薄情な反面、不真面目で適当。
可愛い面もあるのですが、それでは到底打ち消すことのできない、この人格破綻ぶり。
それでも不思議と、この死神を憎むことができないのは、彼のそんな性格こそが、《死》に通じているから。
どれだけ拒否しても、どれだけ幸せな状況であっても、死神はやってくる。そしてどんなに懇願してもどんなに神に祈っても、《死》から逃れることはできない。
人間を嘲笑う死神は、気まぐれな《死》そのもの。
だから、どんなに嫌な奴だと思っても、私は人間である以上、彼を受け入れなければならない。自分がいつか死ぬことを、自覚しなければならないのです。
『死んでも後悔しない人生を送れ』というのが、この作品の主張かな、と読了してすぐは思ったのですが、ちょっと違う気もします。
頑張っても報われないときは報われないし、幸せを掴んでもそれが永遠に続くとは限らない。やり直しを誓っても、すでに手遅れかもしれない。
『どうやって生きても結局後悔はするんだけど、死神の嘲笑を受けたくないなら精々頑張ればぁ?』そんな、ちょっと変化球なメッセージ。
『べ、別にあんたに満ち足りた人生を送ってほしいわけじゃないんだからね?!』的な。ツンデレか。そうか死神はツンデレだったのか(多分違う
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