「逃げないけど、人間の後ろは歩きたくないし、隣を歩いてあげるわ」

 

人類が宇宙に降り立つことを目指していた時代。二つの大国は、どちらが先に有人宇宙飛行を成功させるか争っていた。そのうちの一つ、ツィルニトラ共和国では、犬を使った実験飛行の次の段階として、人間の代わりに吸血鬼を宇宙船に乗せる『ノスフェラトゥ計画』を実行に移す。

その実験体として選ばれた吸血鬼の少女・イリナの、監視役兼教官となったのは、宇宙飛行士候補生”補欠”のレフ。二人は過酷な訓練をともにしながら、少しずつ心を通わせていくが……。

 

ライトノベルは久々に読みましたが、面白かったです!おねがい

 

ライカ犬(別名クドリャフカ)の逸話を私が最初に知ったのは、『ブレーメンⅡ』(川原泉)を読んだ時でした。

(ライカ犬について知らない方はこちらを参照→https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%AB_(%E7%8A%AC) )

 

悲しい話だと思う一方で、未知の宇宙へ飛び立つ、という挑戦のためには、彼らの犠牲はなくてはならないものだったと思います。無辜の命が奪われることへのやりきれなさも、勿論捨てられないのですが。

 

そして、この話でライカ犬と同じ実験体として選ばれたのは、『呪われた種』として人間から嫌われている、吸血鬼の女の子・イリナ。

ある理由から宇宙へ行くという夢を持つ彼女は、訓練を懸命にこなし、侮蔑的な言葉や態度、過酷な実験にも耐えている。

しかし、彼女が載るのもまた、ライカ犬が載ったそれと同じく試作品にすぎず、その生存確率は低い。それを知ってなお、宇宙へのあこがれを捨てることができない。

 

一方で、同じく宇宙に行きたいという夢を持つレフは、自分より先に宇宙への一歩を踏み出す彼女のことが、羨ましくて仕方がない。そしてそれと同時に、イリナに死んでほしくないと思っている。

生きることと、夢を追うことの間で悩む彼らの周りでは、悪い大人たちが陰謀や差別を渦巻かせていて、それが彼らをさらに苦しめる。

 

そんな逃げ場のない状況だからこそ、彼らの懸命な姿や、気の置けない軽口、ふとしたときに見せる笑顔。そんな一つ一つが、とても愛おしく思えてならなかった。

 

宇宙に行くのは今でも命がけ。

この作品では吸血鬼が実験体として選ばれているわけだが、現実の歴史で、あるいは歴史から隠された部分で、犬の次に乗せられたのは《何》だったのか。私はそのあたりは詳しくないが、想像するだけで辛いものがある。

しかしながら、せめて彼らの見た景色が、生涯で一番美しいものであったことを願う。

この作品を読んで、そんな風に思った。

 

 

 





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