- ブランシャール マクロ経済学〈上〉/東洋経済新報社
- ¥4,104
- Amazon.co.jp
- 国際金融入門 (岩波新書)/岩波書店
- ¥864
- Amazon.co.jp
先進国(アメリカ、日本、イギリスのような内債を保有し、変動相場制の国)を除くほよんどの国でこの固定相場制は採用されています。固定相場制を採用している国は中央銀行は暗黙の、あるいは明確な目標為替レートを持っており、それを達成するために金融政策を用いています。したがって、金融政策を経済の安定化に使用することができません。これは国際資本移動の自由、独立した金融政策、為替レートの固定を同時に3つ達成することができないという国際金融のトリレンマと呼ばれるものです。
固定相場制の国は外国通貨に対する自国通貨の交換比率をペッグ(一定に維持)しているとも言えます。90
年代ではバハマからオマーンまでを含む多くの国々が自国通貨をドルにペッグしています。またほとんどはアフリカの旧フランス植民地であるが、フランス・フランにペッグする国もあります。自国の貿易構成を反映するようにウェイト付けをした複数の外国通貨にペッグする国もあります。固定為替レートは為替レートが全く変わらないというわけではなく、多少変化するときもあります。極端な例はフランス・フランにペッグされたアフリカ諸国で、1994年1月に為替レートの再調整を行ったが、それは45年ぶりのことでした。固定為替レートの下では為替レートの変更はめったに起こらないので、エコノミストはそれを変動為替レートの下で起こる変化と区別するために「固定」という用語を使用しています。固定相場制の下における為替レートの上昇は、自国通貨安ではなく、平価切下げと呼ばれ、固定相場制の下での為替レートの下落は自国通貨高ではなく平価切上げと呼ばれます。
これら両極端の制度の間には、為替レートの目標値に対するさまざまな度合の介入があります。たとえば、クローリング・ペッグというやり方があります。この制度を採用している国のインフレ率は、通常米国のインフレ率よりも高くなります。もしこれらの国がドル・ペッグ制を採用すると自国のインフレ率が米国のインフレ率も速く上昇していしまうために、対ドルで見たときの実質為替レートが下落し、自国財は速やかに競争力を失ってしまいます。これを回避するために、これらの国々はドルに対する名目為替レートをあらかじめ決められた速度で上昇させることにしたのです。このようにして、それらの国はドルに対して、ゆっくりと自国通貨安えを進めることを選んだのです。
ちなみに新興国の通貨制度はタイがドル・ペッグ制、インドネシアがクローリング・ペッグ制、香港はカーレンシーボード制です。しばしばFRBの量的緩和によって新興国に資本が流出しているという批判が見受けられます。しかし、これは的外れな批判です。新興国はいずれも固定相場制を採用していてほとんどの国はドルの動きに過敏に反応しています。つまり、FRBがいくら量的緩和を行おうが対米における実質金利差はほとんど変わらないからです。
もし、ある通貨にペッグし金融資産投資家が為替レートは変わらないものと予想されるなら、両方の国の名目金利は等しくならなければなりません。したがって、固定相場制と国際資本移動の自由を採用している場合、自国金利と外国金利は等しくならなければなりません。
また、国内の産出量が拡大し、貨幣に対する需要が増加したとします。閉鎖経済では、中央銀行は貨幣供給を不変に保ち、均衡金利を上昇させるという選択ができます。開放経済でも、変動為替レート下ではほぼどうようのことが言えます。つまり、貨幣需要が増加しても、貨幣供給を一定の値にとどめることができます。その場合は金利が上昇し自国通貨高になるという結果になります。しかし、固定為替レートの下では、為替レートを維持するというコミットメントがあるために、中央銀行はもはや貨幣供給を一定の値にとどめることができなります。つまり、自国金利が外国金利以上に上昇することを防ぐために、貨幣供給を貨幣需要の増加にあわせて増やし、均衡金利が変わらないようにしなくてはならないのです。価格水準を所与とすると、名目貨幣量を調整しなくてなりません。もっと明確に言うと、固定相場制の下では、中央銀行は金融政策を政策手段とすることを断念していると言えます。固定相場制は自国金利が外国金利に等しいことを意味します。そして貨幣供給量は、その金利を維持するように調整されなくてはならないのです。
http://blog.with2.net/link.php?1722790 人気ブログランキングへ
