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ブランシャール マクロ経済学〈上〉/東洋経済新報社
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資本移動の完全性という仮定は、高度に発達した金融市場を持ち、資本規制の少ない米国、英国、日本のような国の状態を表すのに適しています。しかし、この仮定は、金融市場がそれほど発達していない国や、いくつもの資本規制が存在する国には上手く当てはまりません。そのような国では、たとえ自国金利が低くても、金融投資家は自国債権から外国債券に乗り換えようと考えないか、また考えたとしてもそれが法的に禁止されている可能性があります。そのような場合には、中央銀行が金利を下落させても、所与の為替レートを維持できる可能性があります。

この問題について考察するためにまずは中央銀行のバランス・シートの中身を見ていきましょう。開放経済では中央銀行は自国債権、外貨準備の2種類の資産を保有すると考えられます。後者は、外国債権やその他の金利付き外国金融資産の形をとることもあるが、単純化のためにここではすべて外国通貨であると仮定します。中央銀行のバランス・シートで、資産側にあるのは債権と外貨準備、負債側にあるのはマネタリーベースです。開放経済では、中央銀行は債権市場における債権の売買と外国為替市場における外国通貨の売買という2つの方法で貨幣供給量(マネーサプライ)を変化させることができます。


<資本移動の完全性と固定相場制>

ここではまず公開市場操作の効果について説明します。当初、自国金利と外国金利が等しいとします。そこで、中央銀行が拡張的な公開市場操作に乗り出し、債権市場でBだけ債権を買い、引き換えに同額の貨幣を供給したとします。この債券の購入(買いオペレーション)は自国の金利を低下させます。この時、金融投資家は外国債券を保有することを好むようになります。外国債券を買うためには、まず外国通貨おを買わなければなりません。そこで投資家たちは外国為替市場で自国通貨を売って外国通貨を買います。中央銀行が介入しなければ外国通貨で測定した自国通貨の価格は下落し、自国通貨安になります。しかし、中央銀行は固定為替レートを維持しなければならないので、外国為替市場に介入し、自国通貨を買って外国通貨を売らなければなりません。そのようにして、中央銀行が自国通貨を買うと、貨幣供給量は減少します。それでは、中央銀行はどれだけの外国通貨を売却しなければならないのでしょうか。中央銀行は貨幣供給が公開市場操作以前の水準に戻り、自国金利が再び外国金利と等しくなるまで売り続けなければなりません。その時になって、初めて金融投資家は自国債権を自ら保有するようになります。

そして、この時の中央銀行のバランスシートは債券の保有額はBだけ増加し、外貨準備はBだけ減少します。中央銀行のマネタリーベースは、最初に公開市場操作、つまり買いオペレーションによってBだけ増加するが、外国為替市場で外国通貨を売った結果Bだけ減少し、全体としては変わりません。このように、固定相場制と資本移動の完全制を採用している場合は公開市場操作は中央銀行のバランスシートの資産構成を変えるだけであり、貨幣供給を買えることはできません。


<資本移動の不完全性と固定相場制>

次に、資本移動の完全制の仮定から離れて、金融投資家が自国債券と外国債券を組み替えるのに、いくらか時間がかかるとします。そうすると、買いオペレーションによる公開市場操作で、最初は自国金利を外国金利より低くすることができます。しかし、時間がたつにつれて、投資家は次第に外国債券にシフトするとようになり、外国為替市場で外国通貨に対する需要が増加します。そこで、自国通貨安を回避するために、中央銀行は外国通貨を売って自国通貨を買わなくてはなりません。最終的に、中央銀行は最初の買いオペレーションの効果を相殺していしまうだけの自国通貨を買うことになります。貨幣供給も金利ももとの値に戻ります。中央銀行の債券の保有量は増え、外貨準備は減ります。

資本移動が不完全な場合には、買いオペレーションのネットの効果は、貨幣供給量を増加させ、自国金利を下落させ、中央銀行の保有する債券を増加させ、それよりも少ない量の外貨準備を減少させるという結果になります。すなわち、資本移動の不完全性の仮定の下では、国は為替レートを維持しながら自国金利を

いくらか変える自由をもっているのです。



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