すきなほん : きらきらひかる/江國香織
江國香織さん。
本屋さんでまだ読んでいない文庫があると、手にとって、
しばらく立ち読みして、レジに向かう。
すきな作家さんです。
その中でも、『きらきらひかる』は、ほんとうにだいすき。
何回読んだかわからないほど。
「二人ともそうしたいと思っているのに、どうしてそうできないことがあるの」
この台詞が、あたしにはすごく切ない。
江國さんの作品には、こどものような大人、がよく出てくる気がする。
大人として、の常識っていうものがあることを知っているのに、
それでも、なんでそれが正しいのか、とか、何でできないのか、とかを
理解できないような大人。
それとも、理解したくないだけなのかも。
あんまりよくわかっていないんだけれど。
『きらきらひかる』を読むと、
どうしてこのままではいられないんだろう、って思って、そのあと、
でも、そう思っていてもこのままではいられないんだなぁ、って思う。
それは、このお話に出てくる人たちの関係性や、状況、っていうのもそうなんだけど、
ただ漠然と、自分自身の状況とかに対しても、なんとなく、そう感じる。
あたしは、いつまでもこのままがいいし、
たとえば今思っていることが、
あぁ、そういえばそんなこと考えてたね。
って、思い出になっていくのが、いやだ。
でも、どんどん思い出になっていってしまうし、
あぁ、そういえばそんなこと考えてたね。
って思うこともある。
このままでいたい、って願う笑子や、
そう願っている笑子が、このままでいられないってわかっている、ということに気付いている、睦月が切ない。
最後の、
「私たち、嘘をつくことなんて何とも思ってないもの」
ほんと、「上等だよ」、と、あたしも思う。
このわるがきめ。
何回読んでも、すきだと感じられる本です。