大発会から連日の下げ相場だ。特に不動産業界、不動産金融業界はその不透明さから下落が著しい。

この数年の不動産業界、或いは不動産金融業界は、上昇トレンドに乗り、大きく成長した。私は、レンダー、不動産業界、不動産金融業界に身を置き、多くの成功者を目の当たりにした。

不動産業者は物件があれば、ありとあらゆる手段によって資金調達し、(時には出口を固めてから)不動産業者に短期転売をして、利益を獲得した。業者風に言うと「転がし」、「即転」であり、不動産金融業界風であれば「アービトラージ」であり、「ハイレバでハイティーン」が可能であった。

しかし、マーケットは成熟し、サブプライム問題に端を発する金融不安から、不動産業者向けのコーポレートファイナンスの引き締め、ノンリコースローンの縮小等により、今年は更に地合が悪化、不動産業界はこの2年の内に中小デベロッパーの破綻、AM会社の合併、買収といった変化が起こる事が予想される。

そこで、組織は、個人は何を目指すのか。冒頭のバリューチェーンとスペシャリストとなる。

組織については、今までの無加工での短期転売は期待出来ない。インターネットを叩けば、不動産に関する情報が溢れ、売却チャネルは多様化し、成熟した。大手不動産会社数社のホームページに売却物件を掲載するなどは当然に行う(所謂オープン物件が掃ける)訳で、悪い不動産屋に引っかかる事は無くなった。

金融屋は不動産金融屋になり、相対取引を好む。保有する個人投資家や、ファンドプレイヤーに融資するレンダー(銀行等)は、短期間に二転三転した転売業者の保有物件を嫌う。

となれば、評価が複雑な、権利関係が複雑、資金調達がし難い、運用がし難い物件をバリューアップし、金融商品化(或いは受益権化、或いは資金調達のし易い物件改善)しなければ、利益機会を得られない(数年前から定着した「流動化事業」である)。今後は、この事業期間でさえ、キャップレートの上昇、収益価格は低下する事は織り込まなければならなくなる。
不動産会社は、バリューチェーンの最適化を目指すしか道は無い。

一方で個人、或いは小規模な組織の今後の選択肢は限られる。
ノウハウと地域の集中である。

業務スキームが成熟するという事は、業務は分業化、専門化が進む。個人は、コンピュータに侵され難い分野で専門性を磨く事が、好きな場所で、好きな仕事を好きな時間楽しみ、安定と、幸せな生き方を得られるの方法ではないか。

中小の不動産会社においても、出来る限りアウトソーシングを進め、ノウハウと地域を集中すべきだろう。社長と営業と、経理といった小規模の不動産業者というのも生き残る選択肢かも知れないが、社員数10~50名のセールスカンパニーでは向こう2年以内に大半の会社でこの数年の利益を食い潰し、リストラが進むのは間違いないだろう。(不動産業の社長は営業スキルは高いが、経営戦略について学び、実践してきた人間は少ない、ことが多い。)

ポートフォリオを言い出す人も要るかも知れないが、年商数億、利益数千万の仲介会社、管理会社、或いは年商100億、利益が10億前後の転売会社において、地域分散は費用対効果から言って効果が薄いと考えられる。個人の話に置き換えれば、このタイミングでスペシャリストに対し、ゼネラリストを目指せという議論と同義と言える。

この2年間は不動産業界の淘汰と、多様化、専門化がより進む。不動産個人投資家が本を出し、一人称で語る事が笑われ、不動産会社の営業マンが、一人称で語る事も馬鹿にされる時代となる。ネットワークによる情報の取捨選択、バリューチェーンの最適化が進むのだ。

新たな展開が待っている。