私は子供の頃はずっと父が嫌いだった
大人になっても嫌いだった
でも
今日は父をとても誇りに思いました
私の地元である大物の男性が亡くなりました
土曜日はその男性のお通夜でした
父と母が長年お世話になった方でした
両親がとてもお世話になり
尊敬している男性でしたので家族で出かけました
6日に亡くなり
それから毎日
父と母と兄と義姉は仕事を休んでお手伝いに出かけています
亡くなった方の最後の願いが
「何かあったら葬儀は頼む」
亡くなる前に父は病院に呼び出され
病院で最後の願いをメモしていたそうです
私はお通夜だけ参加しました
独特な風習の場所で
お通夜は「御念仏」という儀式をします
その御念仏をなんと当日父が伴走をすることになり
大勢の前で父は鐘をたたき御念仏の西国33番を唱え始めました
私は残念ながらその念仏を知りません
お通夜に来てくださった方も
「なぜ?」と父が仕切ることを不思議に思う方もいたはずです
でも父は
間違えながらも、つっかえながらも
テンポや音程が狂いながらも務めていました
その姿に泣けました
どれほど勇気のいることか
男の友情と
約束を守り通す姿に感動しました
そして思いました
父の時は
誰がこの役をやってくれるのだろう
そう考えたら
不安になりまた泣けました
汗だくになり走り回る兄とそれを支える義姉
曲がった腰をさすりながらお手伝いをする母に
私は本当に頭が下がる思いでした
みな恩をしっかりと形にしている
亡くなった人には
もう何もしてあげられない
唯一
故人の大切にしている家族に対して
お手伝いをすることが何よりのことだと思います
実家にたちより
疲れている父を相手に
我が家の時の話を真剣にしました
本当は
「先に寝る」と言った父を
「ちょっとここに座って!」と引き留め
久しぶりにリビングで家族で話をしました
普段は父は私が実家に行っても
すぐに自分の部屋へ行き寝てしまいます
家の実家のリビングは40畳ほどあり
家族がそこに
それぞれがバラバラに散らばっているのです
同じ空間でテレビが二台
同じ番組を見ていることもあります
私はそれが嫌いだった
それが今日は
家族がテーブルを囲んで固まって話をしました
そうしないとできない話です
父に何かあった時、私が不安に思うこと
父の望む事
聞いておこうと思いました
だからここに集まって!
家族で
親子で
あんなに真剣な話をしたのは
はじめてかもしれません
私は泣きながら父に言いました
「家の時は誰が鐘をたたいてくれるの?
誰が受付をしてくれるの?誰が心からお手伝いをしてくれるの?
ずっと後ろから見てて心配になった」
父は
「すべてを兄に伝えているので
お前はそれを聞けばいい」
「はい」
私もかなりのわがままで頑固な人間ですが
家の掟には立ち向かうことはできません
私は女で妹なので
兄の指示に従うだけです
でもきっと兄は
私の家族を命がけで守ってくれると信じています
今日ほど
家族のありがたさと
父をすごいと思ったことはありません
大物が亡くなると
いろんなことが起こります
矢面に立った父
すべてを葬儀代表者として受け止めた父を
私は涙がでるほど立派な人だと思いました
「俺は何を言われてもいい」
私の知らない世界で
父はしっかりと約束を果たした
今日は全国の人に言いたい
私の父は
本当にすごい人です!
最後まで友情を貫いた姿は
本当にすごい!
※告別式はめったに見ることのできないハイランクのものだそうです
それは戒名の関係らしいのですが
人が人生の中で出会うことが難しいらしいです
見たかったけど・・・