旅 ④ | TRANS FIX -Let's get to find a way-

旅 ④

縄文杉アタック当日

3:30に起きて6時に登山口に到着
周囲はまだ暗闇。

延々、2時間のトロッコ道
そこは映画、スタンドバイミーの世界

歩きながらも
この道を延々、切り拓いてきた先人達に
ただただ尊敬と感謝の念が降りてくる。

小一時間すると空が白み始め
徐々に視界が開けテンションがあがる。
俄然、歩を進める足にも力が入る。

水の流れる音
動物の鳴き声
凛とした空気感

神聖な場所に
足を踏み入れさせてもらっている尊さ
俗物と成り果てた私がここにいるおかしさ

日常の暮らしの中では決して降りてこない
感受性のスイッチが切り替わる音すら
聞こえてきそうな崇高さを感じる。

心配していた雨もなく
ただ淡々と、ただ黙々と歩みを進める。
セイジの足も大丈夫みたいだ。

分岐点に着き
いよいよ森の中に分け入る

そこでのファーストコンタクトで
二人とも言葉を失う…。

いきなり素人には
断崖絶壁にも見える急勾配の岩場…
数メートル登るだけでも
かなりの時間を要する。

大丈夫か?

ここを経験した登山者なら
誰しもが不安にかられ
気後れしたに違いない…。

この行程を何時間続けるのかと…。

極端に口数も減り
うっそうとした
もののけが現れそうな森の中
ひたすら、歩く…歩く…歩く

足場も不安定で
雨が降っていたら…
土はぬかるみ、石は滑り
歩く速度も極端に減速するだろう。

上陸して二日目も快晴。

ふと、歩きながら
セイジの名前は「晴二」だなぁと

そうか…
今日の為に二日も晴らしてくれて
ありがとう

そう言って二人でゲラゲラ笑う

しかし、森に入ってからというもの
セイジのペースが急速にダウン。

借りてきた登山ストックを駆使しながら
ゆっくりと一歩一歩、縄文杉を目指す。

要所要所にある見所スポットがあったおかげで休みながら、気を散じながら歩く事ができた。

アタックから三時間半
ん?あれか?

そんな雰囲気を感じた時
ドーンと姿を現した。

3500年もの間
その地に根を張り、風雨に晒されるも
朽ち果てる事なく、立ち枯れる事なく
泰然と存在し続ける
そのたたずまい、神々しさに
見上げたまま言葉を失う。

3500年…

我々なんぞ瞬きひとつにも満たない
年月と歴史をまとった姿に
神さえも宿っているのではないかと
ただ口をつぐみ、じっと
見上げる事しかできない。

「小僧ども、よく来たな」

感情のバロメーターはブルブルとふるえ
あまりの神々しさに
敗北めいたものが降りてくる。

心の中で深く頭を垂れ
膝まずいてる自分がいた。

なんなんだよこの感覚は…

道すがら、かなりの樹齢であろう樹ですら
朽ち果て無惨な姿を晒していた。
それも1本や2本ではない。
ゴロゴロと。

常襲する台風の中
縄文杉は悠然とその場に鎮座し
生き抜いていた。

そして我々は自らの意志で対面しに行った。
3500年と言う歴史の生き証人に会いに。

その場から離れたくない
得体の知れないパワーをずっと浴びていたい
感覚だったけど帰りの行程もある。

20分程の滞在だったか
下山を開始する。

登りより断然、体が楽だ。
縄文杉に出会えた余韻でボヤンとしながら
体中を支配する不思議な感覚が
体を前へ前へと押し進めてくれる。

セイジのダメージは酷かったけれど
顔を歪めながらもなんとか踏ん張っていた。

トロッコ道に降りてきた時の安堵感ったらなく
それは登山の終焉が近い事を意味していた。

アタックから7時間ちょっと。
登山口に帰ってきた。

平均、10時間程かかる中
かなり早い下山だった。

始発バスにおよそ50人程乗っていて
自分達は30分後の次のバスで向かったのだが
気付けば2番手の下山。
50人程追い抜いていたのだ…。

なかなかやるじゃないかオジサン達(笑)
誰も褒めてくれないので互いに互いを
褒めちぎる事にした(笑)

帰りのバスの中
疲れきった体をさすりながら
お互い無口だったけど
それは個々に今日一日を
反芻していた証でもあった。

どうなる事かと思ったけど
一生、共有できる思い出が出来た
セイジありがとう!

最後に…

体が元気な内にしかトライ出来ない
難しい場所だと思います。

興味が、沸いた方は
是非トライしてみて下さいね!
予想を遥かに越えた感動が待っています!(^^)

長々と長文を読んで下さり
ありがとうございました!m(__)m

有為