地元駅から誰もいない車両に乗り込み、目的地まで一本。ゆっくりと本を読んだり、瞑想でもするかな、と心の中で微笑むわたし。


すると、次の駅で叫び声が聞こえて来た。(なんだろう、怖いなー)と思うやいなや、バタバタと車内に入ってくるインターナショナルスクール系のティーンズ女子5、6人。


この女子たちが、全盛期のフォーホースメンばりの騒ぎっぷり。

英語のスラングと日本語を巧みに交えつつの会話で、わたしの心の平安をかき乱してくる。

それはもう、「Wooo!!」的な感嘆詞から、初体験の話まで幅広い。


(さっきまでの平和はなんだったのだろう)

世界は常に変化し続ける無常。であり、わたしを中心には回っていない。


内心辟易するも「しかし、煩悩即菩提!これはヨガチャンス!」と思い、思考を無にするべく瞑想開始。

本来、声はただの音であり、鳥のさえずりや、小川のせせらぎとなんら変わるものではない。

人から発せられる音にストーリーを絡めてしまうからいけないのだ。

こんな時は、自分自身の呼吸と内側の感覚を観察する。


すると、3駅ほど通過して、だいぶ心が穏やかになって来た。

わたしの瞑想も捨てたものではない。伊達に仕事もせずにヨガばっかりやってないのだ。


しかし、それは青天の霹靂だった。

突然、女子達の会話の嵐が鳴り止み、初めて聞く青年の声が車内に響いた。


「キミってさ、9年生のショーンと付き合ってるの?」


目を瞑っている今のわたしにとっては音からの情報がほぼ全てだ。


わたしは愕然とした。


(だ、だれだこいつは。。


突然現れてなんだその質問は…!


そして名前がショーン!


しかも9年生まであるのか…!)



圧倒的な思考の嵐が押し寄せた瞬間


フッ



と吹き出してしまうわたしがいた。

悟りは遠い。