珍しく個人的に読んだ本の紹介。


もう20年近く前になってしまいましたが、

青年海外協力隊に参加し、あまり興味のなかったアフリカのタンザニア で生活をした時、

すごく驚いたことの一つは、こんなにヨーロッパの植民地政策が現代まで引きずっているものなのか、ということでした。

教科書や本でしか知らなかった史実が、現在の人々の国民性や、国際援助の形に影響を与えていて、いまだに存在感があることに驚き。


そんなことを思い出したのが、こちらの作品。





賞も取ってるし、面白そうと思って手に取り。

イメージは言語を駆使した魔法が大活躍する話しかと思ったのですが、言語についての蘊蓄はたっぷりあれど、重要な割に魔法っぽい力を華々しくつかった活劇はなく。


でも、冒頭に死の間際で助けられた主人公が状況も飲み込めないまま、目の間のチャンスをひたすら掴んで、利用されているとわかっていても、自分の知識欲には勝てずただただ、知識を得るための学園生活の描写に引き込まれ。

図書館で借りたので返却期限もあり一気に読了。


読み終わった感想は、アンチハリーポッター?


楽しい寄宿舎での学園生活の裏には、階級的な特権意識、植民地から搾取した知識から得た技術による経済的特権による歪みがあり、大人たちも自分たちの研究と権益に夢中で、守り導いてくれる人はいない現実で生きるしかない青年たちの姿が、輝かしくも、痛々しく。


特にイギリスの児童文学に多く見られ、良質な児童文学の条件である、信頼できる大人が側にいることで、安心して冒険し、成長して戻ってくる子供の姿は全くなく、普段仕事でそういう観点で、作品を読んでいる身には、切ない物語でした。

まあ、ハリーは10歳から高校生の物語で、こちらは大学から研究生の年代なので、児童文学の次の段階の話なのですが。


イギリス(というよりオックスフォードの翻訳家)の権益を高めることだけを優先事項と考える大人に連れてこられ、言語を仕込まれた非ヨーロッパ圏の学生たちと、ヨーロッパ圏出身の学生、教授たちの分かり合えない意識の違いは、タンザニア でも、ただただ英語の本を援助として図書館に送り続ける支援や、援助されるのが当然で、留学して英語の知識が1番優れていると誇示するタンザニアのエリートに人たちにも感じたことであり。


4人のメイン人物のジレンマや、分かり合えない壁は、作者が今でも感じたことなんだろうなあと思いました。


ただ、設定や人物の作り込み、描写はすごく惹き込まれるんだけど、なんとなく最後は物足りない感じが残り、個人的な評価としてはまあまあ。


最近、新しい作家さんの翻訳ものを面白そうと思って読むのですが、なんとなく物足りない感じがあって、首を傾げることが多いのですが、面白かった本と比較すると、作者の年齢が自分と同年代以上か、はるか下か、と言うのが大きい要素な気がします。仕方ないんだけど、ここ深掘りして欲しかった..ここが浅い…みたいな。

もちろんそれを圧倒する良いポイントもあるのですが。これが老人が古典に走る動機か?と思ったり滝汗

作家さんなんてどんどん若い人が現れるわけで、賞の審査員ってすごいな、と思ったり。


というわけで、若さの希望と挫折と未来の塊のような作品。一読はおすすめです。


↓今年読んで作者が若くて新人で女性という共通性のある、もうちょっと!と思った作品。

続きがあったり、隠し伏線がありそうな感じは連続ドラマの影響?と思ったり。

英語圏外のルーツの作家が英語で書いた自分が読みたいんだろう物語。