久々に担当者のほとんどが気に入ってのがこちらの作品。
以下ネタバレなので要注意です。

もしわたしが世界にいなかったら、こうだった、ああだったというと、表紙のように暗示的な絵でくりかえし、最後にわたしは言葉、それもたくさんの地域でそれぞれ発生し、話され、今消えそうな言葉たちのことだと教えてくれます。
作者も少数民族の言葉の研究者で、だからこその文章はシンプルだけど、深く残る言葉で。

好評ではあるし、良い本だけど、メッセージ性が強すぎるのと、暗示をこめられた絵が、大人向きには感じる作品。でも本好きの小学校高学年以上の人にはちょっとおすすめしたくなる魅力があります。

で、思い出したのがこちらの本↓
うろ覚えだったのを今回思い出して、末っ子に読んでみたら、ある意味最初の本と対極にあって面白く。
大昔、どうぶつと人間は、どちらにも変身して好きな時に好きな姿になり、みな同じ言葉をしゃべっていた。ただ、にんげんの発する言葉は強い力を持っていて、言ったことが現実になる魔法のことばだった…
エスキモーに伝わる詩に、柚木沙弥郎さんが絵を描いた作品は、原初の世界の力強さを感じさせてくれ、大きな力を持つ人間の言葉について思いを馳せさせられます。小さな地域の民族の詩が、世界の生き物は同じ言葉で喋っていたと言う先程の本と対照的な感じが面白く感じ。

低学年には、この言葉と生命の力強さを感じてくれる「魔法のことば」を大きい学年には、「もし、世界にわたしがいなかったら」を読んであげたい気持ちになりました。