今でも多少はあるのでしょうが、Tシャツのロゴやお店の名前などに変な英語が使われているのが話題になったことがありました。
 
具体的にいうと、わいせつな言葉だったり、文法がおかしかったり、商売の内容とあっていなかったりといった具合で、それが英語よりも馴染みの薄いフランス語やドイツ語だとさらに酷いことになったりします。
 
ただこれは、英語に限った話ではなく、外国人の刺青や海外の日本料理店に時折変な日本語が見受けられることもありますから、どっちもどっちといったところでしょうか。
 
以前、ドイツの友人がタトゥーではなく文字通り「刺青」を入れるにあたり、「日本の刺青の写真集が欲しい」という無理難題に応えるべく奔走しましたが、奔走したかいあって本場のアッチ系の方より見事な刺青に仕上がりました。「彫り物」って言った方がいいんでしょうね。それにぴったりの「4文字から6文字くらいの漢字のワードを!」との要望に「天衣無縫」を選びましたが、意味を伝えると大変喜んでくれました。
 
それがすっかり遠い思い出になった頃、「両足の龍にそれぞれ『火』と『水』を使った4文字くらいのワードをまた頼むよ!」と新たな課題がやってきたのが最近。一応回答は届けて喜んでくれたので完成したのが見られるのは来年くらいでしょうか。
 
こんなことを思ったのはたまたま目にした投稿の中で製菓用の小麦粉に「エクリチュール」という名前がついているという話が出たから。響きから推察できると思いますが、フランス語です。「書き言葉」という意味にざっくりとはなるのですが、文学の流れや思想を語る上で欠かせない深みのある言葉になりますので、興味を持たれた方は是非ググって考察を深めてみてください。話の続きではおむつポーチにもこの「エクリチュール」という名前がついてるそうで、そこまで行くともはや訳わからんという感じにはなります。
 
これを「よくあるイタい外国語の使用例」と片付けてしまうことは簡単ですが、あえて「小麦粉とエクリチュールの交差点」や「おむつポーチとエクリチュールの交差点」を考察し明確に言語化することに言語の楽しさはあると言えます。さらに逆方向から「真理をあえてイタい言葉で表現する」試みとか。
 
一見するとふざけてるようですが、実はこういう姿勢はビジネスでも実生活でも役にたちます。よく物事を「俯瞰」することが大切といいますが、一方向からしかものを見られない人がどれだけ目を凝らしても自分も他人も世界も「俯瞰」することはできません。様々な方向・角度から見る視点が集まって初めて自分と他人、内側と外側などという境界に縛られず、自分を含む空間全体を「俯瞰」することができるようになるのです。
 
エクリチュールとよく似た例で昔「美容室バウハウス」てのを見つけて、「どんなシンプルかつ革新的な髪型にしてもらえるんだろ?」とそのよくある田舎の小さな美容室の外観とのギャップにドキドキしましたが、何気にググったら全国に「美容室バウハウス」はたくさんあり、中には本家バウハウス並みのデザイン性の高いものもありました。
 
この投稿が全国の「美容室バウハウス」様の集客に貢献できましたら幸いでございます。