先日「柳屋商店開店中」を読んだ流れで映画「アマデウス」を観た。
 
神童と呼ばれ生きている間に評価を得たアーティストでも
かくもみじめな死を迎えるのかと思う一方で
ある分野で天才と呼ばれる域まで到達する人は
おおむねその他の分野では凡人以下であり
マネージャーやパトロンといった裏方やスポンサーの協力なくしては
成功はあり得ないのだと、それは今も昔も変わらないようでいて
時としてYouTubeやSNSから突然ヒーローやヒロインが現れることもあり
少なくともクリエイターやアーティストと呼ばれる人達にとっては
良い時代になったのではないかと思う。
 
その際に突き抜けられるかどうかは
人に媚びを売らずに己を貫けるかが「鍵」だと思う。
「ウケ」や「いいね」を狙っていては
いつまでも経ってもその他大勢から抜け出せるはずはない。
 
同じようにアーティストの末路が切ない映画ということで
「パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト」
を久し振りに観た。


 
いわゆる「天は二物を与えた」系のイケメンヴァイオリニスト
デビッド・ギャレットがパガニーニを演じている
というよりまんま演奏している。
実際のパガニーニもイケメンだったかどうかは知らないが
高身長であったことは確かなようで
髪を振り乱し汗を飛び散らせて弾きまくる様に
全世界の腐女子が熱狂したようである。



この映画を見るまでは、パガニーニというとクラシック界の
イングヴェイ・マルムスティーンみたいなものかとずっと思っていた。
事実彼の作曲した特に「練習曲」などは変態以外の何者でもない。


 
しかし、映画の中のアリアを聴いたときに見る目が変わった。
「なんだろう、むしろ現代的というか、劇団四季が歌ってもおかしくない気がする」
と、横でつぶやいたダンナの言葉が結構いいところをついている。
そう、悪魔に魅入られたアーティストが無垢なるものを
汚れなき魂を渇望するあの「オペラ座の怪人」の声が聞こえてくるのだ。
 
「私の音楽の天使よ、私のために歌ってくれ」