私の好きな「ジョーカー・ゲーム」シリーズの作者として知られる
柳広司氏の未収録の短編とエッセイやあとがきなどを収めた一冊です
 
あまりエッセイやコラムのようなものを書かない人らしく?
あの、裏の裏のそのまた裏を読むような
それでいて一切の無駄をそぎ落とした
「ジョーカー・ゲーム」の世界から来たような人だと思って読むと
いい意味でショックを受けるかもしれません
ええ、かなりお茶目な人です



それにしても「ジョーカー・ゲーム」
アニメの出来が良かったんですよねぇまた
まさかD機関の皆様が揃いも揃ってあんな美形になるとは
予想だにしませんでした。
わざと三好にツンケンさせておいて「柩」に彼を持ってくるなんて… 
う… 上手すぎます
舞台まであるってんですから信じられません
彼らが萌えの対象になる日が来ようとは夢にも思いませんでした
あ、ヴォルフ大佐はぜひ「スターリングラード」のケーニッヒ少佐こと
エド・ハリスでお願いいたします。
 
話を柳氏に戻しましょう
初期の頃からの作品を知るものから見ると氏のパロディ精神や
哲学的な思考はお馴染みのものではあるのですが
作中の登場人物に氏が憑依して語り出してしまうことが多々あり
それが初期の頃は良くも悪くも氏のカラーとなっていて
読みにくく感じていた人もいたのではないでしょうか
「トーキョー・プリズン」も、もう少しスッキリしていたら…
とは感じたのですが、それが見事になくなって
ロラン・バルトによるところの『作者の死』が完成したのが
「ジョーカー・ゲーム」でしたね。
 
「柳屋商店開店中」の中には氏の高校時代のエピソードも少し出てきます
実は氏は高校の部活の先輩でした。私の2年上、主人の1年上でしたので
接する時間が短かった私の氏に関する思い出はほんの少ししかありません
チャラめのNg先輩と怖いNm先輩によくイジられているほんわかした先輩でした
主人の知る先輩も概ねそんな感じなのですが
高校時代に今でも人生の大きな軸となっている言葉をいただいたそうです
 
「相談とは愚の骨頂だ。人が誰かに相談をするのは
ただ同意を求めているだけで、何の問題解決にもならない。」
 
細かい部分は違っているかもしれません
主人にしてみれば一番優しそうだった先輩に相談を持ちかけて
このような返答が来たことに腰が抜けるほどの衝撃を受けたそうですが
その後の自分の意思決定について深く考えるキッカケになったそうです
「柳屋商店開店中」を読んでいると
その先輩らしさが作品の中にも表れているような気がしました
 
ひとしきり読んだ後、主人が私の顔を見てひとこと
 
「…ヤナギ先輩、なんで陸上やってたんだろ?」
 
「私もそう思った…」
 
かくして私たち夫婦の前には最大の謎が立ちはだかったのであった
 
 
 
         -追伸 先輩、リベンジ失敗です