【なぜ南海の12000系特急の自由席は8300系が充当されないのか?その理由を徹底解説!!】
↑南海難波駅に停車中の12000系(手前)と8000系(奥)
南海電鉄の花形の存在でもある、南海本線難波駅~和歌山市・和歌山港駅間を走行する特急サザン。この列車は全列車、10000系電車/12000系電車の指定席4両+7100系電車/8000系・9000系電車の自由席4両をつないで計8両編成での運行形態となっている。
鉄道ファンの間で、南海の最新形式でもある8300系電車が、特急サザンの自由席に充当されない理由を問う声がしばしば聞こえてくる。
私も当初気になり、Wikipedia等を確認したが、以下のような記事を目にした。
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なるほど。だが、私はこの記事を読んだとき、南海電鉄が意図する理由はここではないと察した。
まず、南海のサザンに使用される車両形式から説明しよう。
サザンの指定席車両には10000系と12000系が使用される。これらの運用分けは土曜・休日ダイヤのみ決められており、平日はダイヤでの固定はされていない。
サザンの自由席車両には、10000系には7100系が、12000系には8000系または9000系が併結される。
これは、10000系は抵抗制御・発電ブレーキ併用電磁直通空気ブレーキを搭載しており、これと協調運転に対応するのが7100系だからである。(2015年までは7000系も運用に就いていたが廃車に伴い現在はない)
また、12000系はIGBT-VVVFインバータ制御・回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキを搭載しており、これと協調運転に対応する8000系と9000系が併結される。
しかしながら、これまで主に12000系と併結してきたのは8000系で、日により9000系も併結されたことで一時期話題にもなったが、そのあと登場した8300系は、一度も12000系と併結し、サザンの運用に就いたことはない。
しかも8300系も8000系と制御関係は同様のものであることから、尚更疑問でもある。
しかし、これは12000系と8300系のみ重視したら疑問かもしれないが、南海本線の列車全体像を見渡し、筆者は自ずと答えを導き出した。
南海本線は普通・区間急行・急行・空港急行・特急サザン・ラピートα・ラピートβの種別があり、専用車両を使用される特急ラピートとサザンを除いて、下位種別の普通は4両・6両編成、区間急行以上は6両・8両がダイヤにより混在した構成となっている。
また8000系は製造時期の兼ね合いで12000系とほぼ同仕様となっているほか、4両編成しか存在しないため、13編成すべてがサザンに使用出来る。また9000系は4両編成と6両編成が存在するため、サザンに使用出来るのは4両編成の5編成のみとなっている。
8300系は、本線には2両編成が12編成、4両編成が11編成の配置となっている。
前述の通り、下位種別すべてに置いて4・6・8両があるとなれば、これらを自由に組成出来る8300系はオールマイティー的な存在となるため、下位種別で2扉車の2000系運用の普通運用以外すべてに入れるように南海はしていると思われる。
サザンの自由席は4両編成絶対固定のため、無理して編成の自由度のフリーな8300系を充当しなくても、仕様上一番でかつ、もともと4両編成しかない8000系を12000系と併結させるのは、納得出来るほかない。しかし8000系も下位種別の4両または8両編成のダイヤには充当されるので、検査などで8000系が不足した場合に12000系と併結出来る相手として9000系も充当されたに過ぎない。
なので、12000系とペアを組む4両編成に8300系が充当されないのは、このように全列車の運用と編成特性を考慮した理由である。
もしこのサザンに関する疑問を持つ方が、今後このページにたどり着いて納得いただければ幸いです。
[2020/10/16(Fri) trainpc7]