NEC、GIGAスクール構想第2期向けChromebook端末を発売

文:小槌 健太郎
NEC、GIGAスクール構想第2期向けChromebook端末を発売:教育とICT Online
配信より
 

 NECは、「Next GIGA」とも呼ばれるGIGAスクール構想第2期に向けた学習者用端末「Chromebook Y4」を10月3日に発売した。価格はオープン。2025年2月下旬に出荷を開始する。同社はこれまでに約160万台の学習者用端末を出荷しており、今回発売したChromebook Y4は2028年度までに200万台の販売を目指している。 

 

 2020年から始まったGIGAスクール構想では、小中学校に900万台を超える学習者用コンピューターが整備された。最初の端末が導入されて既に4年がたっており、着実な更新がGIGAスクール第2期の課題となっている。文部科学省は、2023年度の補正予算で都道府県と市区町村が参加する会議体を立ち上げ、広域で端末を共同調達して調達コストを下げる仕組みを構築した。

 

GIGAスクール構想第2期に向けてNECが発売した「Chromebook Y4」。前モデルと区別できるように、本体色を変更した

GIGAスクール構想第2期に向けてNECが発売した「Chromebook Y4」。前モデルと区別できるように、本体色を変更した

 

Chromebook Y4は、従来機種「Chromebook Y3」と同様に、360度開閉する11.6型液晶ディスプレイを搭載し、ノートパソコンとしてもタブレット端末としても使えるコンバーチブルデザインを採用した。CPUはインテルのN100、4GBのメモリー、32GBのeMMC、USB Type-C端子を2つ搭載し、無線LANはWi-Fi 6Eに対応するなど基本性能を強化した。Wi-FiとLTEの通信方式に同一きょう体で対応する。写真撮影時の解像度は5メガピクセル、動画撮影時の解像度はフルHD対応のアウトカメラ、HD対応のインカメラを備えている。

 

 GIGAスクール構想第1期は、新型コロナウイルスによる感染症が拡大し始めた時期だったこともあり、迅速に児童・生徒に1人1台端末を配備して校内ネットワークを整備することを最優先にした。そのため学校現場での想定してなかった使い方や、ネットワークの帯域不足などが原因で、さまざまなトラブルが発生した。

 

異物の侵入を防ぐため開口部を本体左側面に集約して、机上で鉛筆の芯などが誤挿入されないよう設置面からの高さも変更した。USBC Type-C端子は、USB PDやDisplay Port出力に対応し、ACアダプターの接続ポートを兼ねる

異物の侵入を防ぐため開口部を本体左側面に集約して、机上で鉛筆の芯などが誤挿入されないよう設置面からの高さも変更した。USBC Type-C端子は、USB PDやDisplay Port出力に対応し、ACアダプターの接続ポートを兼ねる

 

 Chromebook Y3のこれまでの修理事例では、落下が原因の故障が7割近く(トップカバー43%、液晶パネル24%)を占めるという。今回は落下対策として、端末外周を弾力性のあるポリウレタン素材でカバーして耐衝撃性を高めた。学校での使用を想定した品質試験も強化した。ビジネスモデルで使用されている米軍MIL規格での試験では不十分として、繰り返し落下試験や、角からの落下試験、加圧振動試験などを追加した。さらにそれ以外の試験も強化することで、学校での使用時に起こりうるトラブルに対応できる耐久性を高めたという。

 

学校での想定外の使用も考慮し、従来のビジネスモデルに実施される試験以上の負荷をかけた品質試験を実施

学校での想定外の使用も考慮し、従来のビジネスモデルに実施される試験以上の負荷をかけた品質試験を実施

 

 本体底面のゴム脚の面積を拡大して机から落下しにくくするとともに、外れた場合でも交換可能な構造にした。通学時に自転車に載せたり、ランドセルに入れて持ち運んだりすることが多く、振動でねじが外れてしまうこともあった。対策として、ねじに脱落防止リングを追加した。

 

 異物の侵入を防ぐため開口部を本体左側面に集約して、机上で鉛筆の芯などを誤挿入しないよう、接地面からの高さも改善した。バッテリーを交換するには、Y3はメーカーによる交換が必要だったが、Y4は販売店で交換できるように基板が露出しない構造にして、交換時のトラブルや作業工数を削減した。

 

 GIGAスクール構想第2期では既存端末から新機種にスムーズで段階的な入れ替えが求められる。

 

出荷時に管理コンソールへの登録(MDM)作業やラベル貼りなどを代行するキッティングメニューを追加した。

 

既設端末を無償で回収・買取してリユース・リサイクルを促進し、データ消去や証明書発行にも対応する。

 

GIGAスクール構想第2期では、故障などのトラブルを見越して最大15%の予備機が補助金対象となる。

 

NECが予備機を保管、修理、MDM再登録までを一元管理するサービスを提供する。

 

最大6年まで対応可能な延長保証やヘルプデスクも用意する。