JR美祢線の復旧について意見を交わす出席者
JR西日本が美祢線の復旧について「単独では困難」との見解を表明した29日、
沿線の自治体や観光・商工団体からは戸惑いの声が上がった。
1キロ当たりの1日平均利用者数を示す輸送密度の低さを強調するJR側に対し、
利用促進協議会会長の篠田洋司・山口県美祢市長は
「路線を切り取って輸送密度で議論するべきではない」と苦言を呈した。
(本岡辰章、小林隼)
【地図】JR美祢線の主な被災箇所
同県山陽小野田市で開かれた協議会の総会で、
JR西日本の広岡研二・広島支社長は被災前(2022年度)の輸送密度が377人だったことを踏まえ、
「復旧後に利用促進策を実施しても鉄道が持つ大量輸送のメリットを発揮できない」と説明。
「仮に復旧させても持続的な運行は難しい」と主張した。
一方、県観光スポーツ文化部の小野浩誠審議監は「『大量輸送』のみに着目せず、速達性や定時性、通学、観光で果たす役割にも目を向けてもらいたい」と反論。
JR側が復旧費用を算出していないことから、「復旧費用の負担など自治体に何を求めるのか示してほしい」と要望した。
運休の長期化を懸念する声も上がった。
美祢市観光協会の綿谷敦朗会長は「線路が草だらけで、県観光のイメージダウンにつながる」と改めて早期復旧を求めた。
篠田市長も「新幹線や路線バスとつながるネットワークの維持という視点を持ってもらいたい」と述べた。
JR側が設置を求めた代替案を議論する部会について、協議会は応じるか否か今後1か月ほどかけて決める。
村岡知事は「鉄道での復旧を求めていく観点から、部会の設置について検討したい」とコメントした。
【関連記事】