見落とさないで!「新NISA制度」を活用する際の意外なハードルとは?
7:26 配信
見落とさないで!「新NISA制度」を活用する際の意外なハードルとは?(LIMO) - Yahoo!ファイナンス
配信より
2024年から始まる新しいNISA制度には、さまざまな特長があります。
具体的には、次の3つが従来のNISA制度との大きな違いです。
・(1)従来のつみたてNISAと一般NISAを両方使える
・(2)非課税で投資できる金額が大きく拡大する
・(3)制度の利用期限がなくなる
2023年までの従来のNISA制度では、2018年にスタートした「つみたてNISA」の人気が年々高まってきました。
つみたてNISAの口座数は、2018年末の約103万口座から、2023年6月末の約836万口座へと、5年余りで8倍以上に急増しています。
さらに、つみたてNISAの口座数のうち、9割近くが20歳代~50歳代の現役世代に利用されています。
(出典:金融庁「NISA口座の利用状況調査(2023年6月末時点)」)
つみたてNISAの口座数からわかるように、つみたてNISAの制度ができたことで、積立投資を実践する人が増えました。「自身でタイミングを計らなくても、相場が下がっている時期に安く買える」「心理の影響に惑わされずに淡々と続けられる」といった、積立の効果を感じている読者の方も多いのではないでしょうか。
ただ、来年からの新NISAでしっかり分散投資を行っていく場合、実は、一般NISAの後継の「成長投資枠」を活用することが有効な選択肢となるのです。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
「成長投資枠」は一括投資だけでなく、積立投資もできる
新NISAでは、一つのNISA口座の中に「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの枠が設けられます。「つみたて投資枠」は年間120万円まで、「成長投資枠」は年間240万円まで投資できます。
「成長投資枠」という名称だけを見ると、(「つみたて投資枠」よりも)リスクの高い商品に、一括で投資することをイメージする方もいるかもしれません。しかし、実際には、「成長投資枠」の投資方法は柔軟で、積立でも一括でもどちらでも利用できます。
さらに、「つみたて投資枠」の対象商品は、すべて「成長投資枠」でも購入することができます。「成長投資枠」でも、積立投資を実践しやすいのです。
私が講師を務める資産運用セミナーでは、よく「一括投資と積立投資はどちらがおすすめですか」という質問をいただきます。どちらが最終的に高いリターンを得られるかはわかりませんが、迷う場合には積立投資を組み合わせることをおすすめしています。
ここで注意していただきたいのは、新しいNISAで積立投資を実践する際、絶対に「つみたて投資枠」を使わなければいけないわけではない、ということです。
「成長投資枠」は投資対象が幅広く、資産の分散がしやすい
「つみたて投資枠」の対象商品は、金融庁に届け出がされている投資信託または上場投資信託(ETF)で、株式のみに投資する商品が中心となっています。
一方で、「成長投資枠」の対象商品はより幅広く選ばれています。債券など、株式とは値動きの異なる商品も豊富に用意されているのが特徴です(ただし、個別企業の株式など、「つみたて投資枠」よりもリスクが高い投資対象も含まれるので、その点は注意が必要です)。
長期投資では、いかにリスクを抑えて長く続けていけるかが重要です。たとえば、つみたてNISAで人気を集めている商品の多くは、株式のみに投資する投資信託です。
株式のみの投資信託の場合、個別株への投資よりはリスクが抑えられます。ただし、株式のみに集中するため、リスクを取りすぎてしまうかもしれません。たとえばリーマン・ショックのような金融危機が起きると、資産価格が大きく下がる可能性が高まります。
長く続けるためには、株式だけでなく、債券などを組み合わせることが重要です。資産の種類を分散させることで、分散の効果を得やすくなるからです。
新NISAでは、「成長投資枠」の中で株式や債券を組み合わせて購入することで、最適な分散投資を実現することが可能となります。
新しいNISAを活用するうえでの、利用者目線での難しさ
ここまでご説明したように、新NISAでは、「成長投資枠」だけでも、「長期・積立・分散」の資産運用を行うことが可能です。
年間の非課税枠も「成長投資枠」は「つみたて投資枠」の2倍に設定されており、投資できる余裕資金が多い人にとっては、より使いやすいと言えるでしょう。
ただし、生涯の非課税枠1800万円をすべて使いたい場合には、「つみたて投資枠」の利用が必要となります。1800万円のうち、600万円は「つみたて投資枠」専用となっています。
この非課税枠の使い方に、利用者目線での難しさが隠れています。「成長投資枠」と「つみたて投資枠」をうまく組み合わせて、最適な分散投資を実現する方法を考えなければならないことになります。
それぞれの枠でいくらずつ投資するか、どの銘柄を購入するかを決めるのは、簡単ではないでしょう。そのため、多くの場合は、「つみたて投資枠」を利用して、人気の株式のみの投資信託を購入するという行動を選びたくなるかもしれません。
「つみたて投資枠」で一つの投資信託を選ぶのはシンプルな方法で、これから資産運用を始める方や金額が少ない方にはおすすめできます。しかし、前述の通りリスクを取りすぎてしまったり、そのまま放置しておくとライフステージの変化に対応できず、退職時に非常に高いリスクを取っていたりすることにつながりかねません。
長期投資では、資産の種類も分散させて、リスクを抑えることが非常に重要です。自分で最適な分散投資を実現するのが難しい場合には、プロに相談して方針を決めるなど、新NISAを十分に活用するための準備をすることをおすすめします。
参考資料
・金融庁「NISA口座の利用状況調査(2023年6月末時点)」
・金融庁「新しいNISA」
LIMO
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最終更新:12/9(土) 7:26