岸田首相への答弁「助け舟」乏しく 孤軍奮闘? 求心力に黄信号

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岸田首相への答弁「助け舟」乏しく 孤軍奮闘? 求心力に黄信号(毎日新聞) - Yahoo!ニュース

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参院予算委員会で質問に答えるため挙手する岸田文雄首相(中央)。右は鈴木俊一財務相=国会内で11月29日、竹内幹撮影

 

2023年度補正予算は11月29日に成立したが、衆参両院の予算委員会の審議では、閣僚が積極的に答弁に立つことは少なく、岸田文雄首相が「孤軍奮闘」する場面が目立った。既に指導力を疑問視する声も出ている中で、首相の政府・与党内での求心力低下を象徴しているようにも映る。 

 

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「43兆円という金額は閣議決定した数字だ。この範囲内で防衛力を強化していく」。首相は11月27日の参院予算委で、円安が進む中、23年度から5年間で防衛費を総額約43兆円に増やす方針を堅持するかを問われ、こうした答弁を繰り返した。  質問した立憲民主党の辻元清美氏は「総理」「防衛大臣」「財務大臣」などと、質問ごとにわざわざ答弁者を指名。誰に答えさせるかは、質疑を仕切る予算委員長に権限があるが、政府側はおおむね辻元氏の要望に沿って、首相や閣僚が答弁に立った。  通常は、政府側はなるべく首相の負担を減らすため、自分が担当する質問が出たら、閣僚自ら手を挙げて答えて、質問者の持ち時間を消費させようとすることが多い。こうした「助け舟」は、首相を支える姿勢を示すことでもある。  辻元氏の防衛費に関する質問は本来、防衛相が前面に出て答弁する案件だ。しかし、木原稔防衛相は辻元氏から求められたときには答弁に立ち、円安に伴う装備品の取得費の増額幅などを説明したが、首相に代わって前に出る姿勢は乏しかった。  結局、首相の答弁機会はあまり減らず、首相周辺は「こういう質問は、本来は防衛相が答えるべきだ。木原氏は全然手を挙げない」と不満を漏らした。  9月の内閣改造で、木原氏をはじめ11人が初入閣した。新任閣僚は不慣れなため、答弁に消極的なことは過去にもあった。だが、21年から約2年、任に就いている鈴木俊一財務相が率先して答弁しないことに、違和感を抱く声が自民党内にある。財務相は原則、予算委に出席する必要があり、今回の補正予算を所管する閣僚だ。  予算委は首相と全閣僚が出席することが多く、質問内容は多岐にわたる。午前9時から午後5時まで、昼休みの1時間を除く「7時間コース」で開かれ、NHKが中継することも少なくない。  見せ場となるため、野党議員は、閣僚より答弁に重みがあると受け止められる首相が答えるよう求めることはよくある。辻元氏が20年ほど前の予算委で、「ソーリ(総理)、ソーリ、ソーリ」と、当時の小泉純一郎首相が答弁するよう連呼したのもそのためだ。  計6日間にわたった今回の補正予算の審議では、自民党5派閥の政治資金問題や、自ら打ち出した定額減税など首相が矢面に立たざるを得ない論点が多かったのは確かだ。首相はかつて、外相を4年7カ月務めた経験があり、答弁に一定の自信を持っているとみられ、孤軍奮闘のような状況をそれほど苦にはしていないようだ。  とはいえ、報道各社の世論調査で内閣支持率は低迷を続けている。自民党の世耕弘成参院幹事長が10月の参院本会議の代表質問で、支持率低下について「最大の原因は、国民が期待するリーダーとしての姿が示せていないことに尽きる」と公然と首相に苦言を呈するなど、党内基盤に揺らぎが見えている。  来年秋の自民党総裁選での再選を疑問視する声が出始める現状では、予算委での閣僚の消極的なふるまいは、支えるメンバーが少なく、首相が孤立しているように受け取られかねない。ある閣僚経験者は「首相の代わりに答えようとする閣僚がいない。財務相もなかなか手を挙げない。あれでは首相も大変だ」と同情している。【畠山嵩】

 

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私のコメント :  令和5年12月9日、2023年度補正予算は11月29日に成立したが、予算委員会の審議では、閣僚が積極的に答弁に立つことは少なく、首相が奮闘する場面が目立った。