女子大の「就職力」なぜ高い? ランク上位入りした学校の特徴
女子大の「就職力」なぜ高い? ランク上位入りした学校の特徴 | 朝日新聞Thinkキャンパス (asahi.com)
配信より

2023/06/08
■大学トレンド
大学選びの際、大学の「就職力」を重視する家庭は多いでしょう。その就職力で、総合大学に勝るとも劣らない実績を出しているのが女子大です。なぜ女子大が就職に強いのでしょうか。(写真=実践女子大学提供)
面倒見の良さで高い就職率
『大学ランキング 2024』(朝日新聞出版)の就職率ランキングでは、女子大の健闘が目立ちます。「卒業生1000人以上2000人未満」のカテゴリーでは、トップ30校に8つの女子大がランクイン。6位に東京女子大学、10位に安田女子大学、12位に武庫川女子大学、18位に跡見学園女子大学、21位に甲南女子大学と同志社女子大学、25位に日本女子大学、27位に金城学院大学が名を連ねています。女子大は全国で80校程度ですから、その就職率の高さは注目に値すると言っていいでしょう。
なぜ女子大は就職に強いのでしょうか。大学通信 情報調査・編集部の井沢秀部長は次のように分析します。
「男女雇用機会均等法が成立する前、女子にとって就職は厳しいものでした。そうした苦しい時代にあっても、それぞれの女子大はきめ細かなサポートで就職を後押ししてきました。女子大の就職力の高さは、連綿と受け継がれてきた面倒見の良さが反映していると考えられます」
井沢部長によると、総合大学などに比べると総じて小規模な女子大は、学生と教員、学生と就職担当者の距離が近く、一人ひとりに目を配った就職支援が行われています。また、幼稚園教諭や保育士、管理栄養士といった資格を取得できる学部が多く、専門職に就けることが就職力の高さにつながっています。
また、卒業生が社会で活躍するための抜本的な策も講じています。
「2003年に現代ビジネス学部を創設した安田女子大学に代表されるように、ビジネスに特化した学びができる環境を用意する女子大が増えてきました。昭和女子大学は13年にグローバルビジネス学部を、共立女子大学は20年にビジネス学部を開設しました。こうした動きが女子大の就職率をより高めていくと予測されます」(井沢部長)
10の女子大が合同で「就活ゼミ」を実施
女子大の就職力を支えるうえで注目されているのが「女子大学合同就活ゼミ(以下『就活ゼミ』)」です。これは大学の枠を超えて情報交換や対策を行える場で、主に3年生が少人数のグループワークを通じて、エントリーシートの作成や面接対策などを行っています。21年度に東京女子大学、実践女子大学、学習院女子大学、津田塾大学の4大学が合同で立ち上げ、22年度には9大学から500人を超える参加者が集まりました。3年目となる23年度には合計10の女子大が参加しています。
「就活ゼミ」に創設から関わる実践女子大学キャリアサポート部の近江谷洋太さんは手応えを感じています。
「就職活動は一人で戦うイメージもありますが、多くの大学が連携することで広く情報を共有できますし、カラーの違うほかの女子大の仲間の存在が励みになっているようです。『就活ゼミ』に参加した学生だけが参加できるインターンシップもあり、複数の企業から内定をもらったという学生も少なくありません」
先輩が後輩の就活を支援
実践女子大学では、別の効果もありました。「就活ゼミ」を通して就職活動への意識を高めた学生たちが、学内の1、2年生を対象とした就職支援に積極的に関わるようになったそうです。1、2年生たちは身近な先輩たちに感化され、より意欲的に就職に向き合うという相乗効果が生まれています。
将来の就職を見据えて大学を選ぶ場合は、その候補に女子大を入れるのもいいでしょう。
(文=菅野浩二)