山口・上関の中間貯蔵施設、なぜ必要? 電力会社に迫る“上限”
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山口・上関の中間貯蔵施設、なぜ必要? 電力会社に迫る“上限”(毎日新聞) - Yahoo!ニュース
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報道陣の質問に答える西哲夫町長(左)=山口県上関町で2023年8月18日午前11時5分、上入来尚撮影
中国電力(広島市)などが山口県上関(かみのせき)町で建設を計画する、原子力発電所の使用済み核燃料を一時保管する「中間貯蔵施設」を巡り、調査受け入れの可否を議論する町議会臨時会が18日あった。
臨時会の冒頭で西哲夫町長は調査受け入れを容認する意向を表明。
町議の過半数が賛成の立場を表明し、西氏は調査受け入れを最終決定した。
閉会後、中国電側にファクスで回答した。中国電は2日、町に調査実施を申し入れていた。
◇なぜ施設建設が必要?
原発の核燃料は使い終わっても高い熱と強い放射線量を持っており、建屋内にあるプールの水で十分に冷却、遮蔽(しゃへい)することが必要だ。
だが使用済み核燃料の行き先となる再処理工場は建設が遅れており、プールはいずれ満杯になってしまう。
そのため、ある程度冷えれば、金属製の容器(キャスク)に入れて空気の対流で冷やし、放射線を遮蔽する「乾式貯蔵」という方法も取られている。
原発の敷地外で、このキャスクで使用済み核燃料を保管するのが中間貯蔵施設だ。
現在、国内では東京電力などが運用する施設が青森県むつ市にあるのみ。
この施設では最終的に5000トンを最長50年間貯蔵する予定だ。
中国電力も「実績があり、日本でも安全性が確認されている」として、山口県上関町で検討する施設として乾式貯蔵を想定する。
施設の規模や建設時期については「今後の調査次第」で未定としている。
むつ市の施設は東電が2001年に調査を始めたが、着工までに9年かかり、原子力規制委員会の審査に合格したのは20年だった。
中国電のプールの容量はすでに7割弱、関西電力は8割以上が埋まっており、両社にとって建設に向けた時間的猶予は限られているのが実情だ。
危険性は無いのか。施設内ではコンクリート製の建屋内に、筒状で高さ5メートル程度のキャスクを並べる。
水や電気を必要とせず、停電しても冷却を維持できる。
規制委の山中伸介委員長は今月2日の記者会見で上関の計画について問われ「リスクの大きな施設ではなく、データさえそろって申請が出てくれば、審査は可能」との見解を示している。
ただ、使用済み核燃料は強い放射線を出す物質であることに変わりはなく、地震などの災害に加えてテロ対策も求められる。
【露木陽介】
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