星空と宇宙

20日は国内3年ぶりの部分日食 皆既と金環、奇跡が生み出す二つの神秘

手塚耕一郎 

毎日新聞 2023/4/20 07:00(最終更新 4/20 13:28) 1736文字

星空と宇宙:20日は国内3年ぶりの部分日食 皆既と金環、奇跡が生み出す二つの神秘 | 毎日新聞 (mainichi.jp) 配信より

https://mainichi.jp/articles/20230419/k00/00m/040/108000c

地球、月、太陽が直線上に並び、月が重なって太陽の一部が欠けたように見える「部分日食」が4月20日、日本では約3年ぶりに一部の地域で見られます。

日食は毎年1~5回、世界のどこかで観察できる現象です。

ここ数年の日本では巡り合わせが悪く、次に日本で見られる日食は約7年後と観察できる機会が非常に限られています。

WEB連載「星空と宇宙」、今回は日食の不思議について紹介します。

20日の部分日食は、見られる範囲が本州の南部~四国南部~九州南部を結んだラインより南側です。

この地域でも、例えば千葉県館山市では太陽の直径のうち、月が隠す割合(食分)は最大となる午後2時40分でも約1%です。

本州、四国、九州では、残念ながら肉眼ではほとんど分からないかもしれません。

一方、那覇では午後2時21分に食分15%、小笠原では午後2時40分に食分27%となり、日食グラスなどを使えば肉眼でも太陽が欠けている様子がはっきり分かります。

日食の中で、特に注目されるのは月が太陽を完全に覆い隠し、白く輝くコロナ(太陽外側のガス層)が見られる「皆既日食」と、太陽の中に月がすっぽりと入り、太陽がリング状に見える「金環日食」です。

実は地上からこの二つが両方とも見られるのは、奇跡的な偶然が重なった結果でした。

地球から太陽の距離は、地球から月に比べ約400倍離れています。一方、太陽の直径は月の約400倍です。

そのため、見かけ上は月と太陽の大きさがほぼ同じになります。

一方、月は地球の周囲を楕円(だえん)軌道で回っていて、月の見かけの大きさは約14%変わります。

月が地球に近いときに日食が起こると、太陽より月の方が大きく見えて皆既日食となりますが、月が遠い場合は太陽の方が大きく見え、金環日食となります。

400倍という数字の偶然の一致と、月の楕円軌道のおかげで見ることができる天文現象なのです。

2023年4月20日に起こる「金環皆既日食」が見られる地域。

オーストラリアやインドネシアの一部など、中央の線上で皆既日食が見られ、線の両端付近では金環日食となる。

日本は部分日食が見られる境界線上に位置している(国立天文台提供)

4月20日の日食は、月と太陽のサイズがほぼ一緒です。

オーストラリアやインドネシアなどでは皆既日食になりますが、日の出や日没間際に見られるインド洋や太平洋の一部では、月までの距離が少し遠くなり、金環日食となります。

一つの日食の中で金環と皆既が共存し、「金環皆既日食」と呼ばれる珍しい日食です。

金環日食や皆既日食は、部分日食に比べて観察できる地域がとても狭く、日本国内に限ると頻繁には見られません。

国内で最後に見られた皆既日食は2009年7月、金環日食は12年5月でした。

私自身、実はまだ皆既日食を見たことがありません。

09年の日食では、国内ではトカラ列島や硫黄島周辺など見られる場所が限られていたため、中国・上海に出かけました。

しかし太陽の9割が欠けた所で完全に雲に覆われ、暗闇の中で悔しい思いで雲を見上げていました。

太陽神の天照大神(あまてらすおおみかみ)が天の岩戸に隠れ、世界が真っ暗になったという神話「天岩戸伝説」は、皆既日食が元になっているという説があります。

皆既日食では、暗くなった空に明るい星が見え、水平線が焼け、太陽の周囲には普段見られないコロナが輝く非常に美しく壮大な景色になります。

僅か数分間の出来事ですが、この光景に魅せられ、高い旅費を払ってでも海外の皆既日食に毎回出かけるようになる「日食病」という言葉が、天文ファンの間では昔から知られています。

次に国内で見られる30年6月1日の日食は、北海道の広い範囲で金環日食となります。

次に皆既日食が国内で見られるのは35年9月2日、北陸から関東北部にかけてです。

ともに大きな注目を集めることは間違いありません。

まだまだ先ですが、楽しみに待ちたいと思います。

太陽観察での注意点

日食に限らず、太陽を直接観察するのは非常に危険です。

一瞬でも目を痛め、失明する危険性もあるため、望遠鏡や双眼鏡、カメラでそのまま太陽を直視しないでください。

肉眼で観察する場合は市販されている「日食グラス」の使用がおすすめです。

一般のサングラスなどでは、減光量が足りず、赤外線や紫外線への対策が不十分な場合もあるので危険です。

撮影する場合も、光量を10万分の1に抑える「ND100000」など、太陽専用の適切な減光フィルターを利用してください。

【手塚耕一郎】

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