山口県高校再編、大きな修正なく計画策定 卒業生から怒りの声
前田健汰、川本裕司

県教委は23日、2026年度にかけての県立高校の再編整備計画を策定した。
10月初旬に発表した素案から大きな修正はなく、学校の存続を求めて署名活動などを行ってきた卒業生たちは「結論ありきの計画だ」と怒りの声をあげた。
この日の12月教育委員会会議で承認した。
県教委は3月に示した県立高校将来構想(22~31年度)で「中学校卒業者の急激な減少に伴う学校の小規模化が見込まれる中、一定の学校規模を確保し、教育の質の確保・向上のため再編整備を推進する」としており、今回の計画は前期の5年分にあたる。
計画は素案と同じく24年度に宇部西高校の生徒募集を停止。
岩国高校と下関西高校に中学校を併設して中高一貫校とするのに伴い、26年度に高森みどり中学校(岩国市玖珂町)の生徒募集も停止する。
また、25年度に厚狭高校(山陽小野田市)と田部高校(下関市)を統合するなどとしている。
この日の会議では、10~11月に実施したパブリックコメントで寄せられた意見と県教委の考えを示した。
「拙速すぎる計画で速やかに撤回すべきだ」という意見に対しては「想定を上回る中学校卒業者数の急激な減少に対し、強い危機感をもって、的確に対応する必要がある」。
「高森みどり中学校の生徒募集停止を考え直してほしい」には「岩国市で2校分の定員の維持は困難であると考えた」と回答した。
教育委員の一人から、計画撤回を求める署名が宇部西高で1万7534筆、高森みどり中で9951筆も寄せられたことをどう思うかと問われ、担当課長は「多くの方の思いを踏まえて、将来を担う子どものことを考えた。苦渋の決断だった」と話した。
繁吉健志教育長は会議の中で「各地域の高校は残したいが、少子化の波は思いをはるかに越えて押し寄せている。新しい時代に対応した学校づくりを今進めないと、山口県教育の未来はない」と理解を求めた。
県議会9月定例会の文教警察委員会で素案が示されてから約2カ月半。
県教委は県内7カ所で9回の地域説明会を行い、「地域の意見を広く聞いてきた」と説明する。
ただ、素案からの修正は4点。3点は表現などの細かな直しで、内容の修正は宇部西高について「(園芸や造園の)教育機能等を山口農業高校などに継承」としただけだった。
計画策定を受け、「宇部西高校を存続させる会」の岡本清会長は「宇部市や県内の農林水産業に対して残念なこと。説明不足のままで、結論ありきの計画を押し通された。今後も白紙撤回を求めて活動を続けたい」と話した。
「高森みどり中を存続させる会」の篠田正則会長は「怒りと深い失望を感じる。繁吉教育長の口から説明されることもなく事務的に決められた。推進者の県教委、パブリックコメントや署名などの民意を無視し計画案を了承した県議会に、憂慮と疑念の思いを持つことしかできない」とのコメントを出した。
(前田健汰、川本裕司)
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山口県立高校に再編案 宇部西は募集停止、岩国・下関西は中高一貫
前田健汰
山口県立高校に再編案 宇部西は募集停止、岩国・下関西は中高一貫:朝日新聞デジタル (asahi.com)
配信より
県教委は4日、2026年度にかけての県立高校の再編整備計画案を県議会文教警察委員会で示した。
24年度に宇部西高校の生徒募集を停止し、25年度に厚狭高校(山陽小野田市)と田部高校(下関市)を統合するなどの内容。
「小規模校の役割を軽視している」と、県議や教員から反対の声も聞かれた。
県教委は3月に示した県立高校将来構想(22~31年度)で、「中学校卒業者の急激な減少に伴う学校の小規模化が見込まれる中、一定の学校規模を確保し、教育の質の確保・向上のため再編整備を推進する」としていた。
今回の計画案は前期の5年分。
宇部西高校は、学校の立地などから再編統合が難しく、募集停止が示された。
さらに萩高校奈古分校(阿武町)について、地元中学校からの入学状況などから今後の募集停止を検討するとした。
柳井・周南の両地域の一部の高校について再編整備の検討を進めるという。
県教委はまた、進学時の児童・生徒の県外流出を大きな課題ととらえている。
昨年3月に県内の小中学校の卒業者のうち、計540人が隣県の広島、福岡を中心に県外へ進学。半分以上が岩国、下関の両地域からだった。
流出を防ぐため、県教委は「生徒や保護者のニーズに対応した特色・魅力ある学校づくり」を掲げ、岩国高校と下関西高校に中学校を併設して中高一貫校とする
▽岩国高校・徳山高校(周南市)・山口高校に、進学に重点を置いた学科の設置を目指す、とする案も計画に盛り込んだ。
高森高校(岩国市)に併設された高森みどり中学校は、岩国高校への中学併設に合わせて生徒募集を停止する方針。
県教委は10月中旬から11月中旬にかけてパブリックコメントを行い、宇部、岩国、下関など県内7カ所で地域説明会を開く。
委員会では計画案に理解を示す議員の一方で、「難関大学を目指す生徒だけを大切にして、そうじゃない生徒が切り捨てられる」と反対の声も上がった。
県教委によると、募集停止が計画される宇部西高校の生徒数は約240人で、入学者数が減少傾向にある。
傍聴していた県立高校の男性教師は「人数の少ない高校には大規模校になじめなかった生徒の受け皿という役割がある。地域に目が向いていない」と批判した。(前田健汰)
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最後の卒業生46人巣立つ 下関の西市高
最後の卒業生46人巣立つ 下関の西市高:朝日新聞デジタル (asahi.com)
配信より

公立高校の卒業式が1日、山口県内各地であり、下関市では3月末で閉校する西市高校で、最後の卒業生46人が巣立った。
1945年に県立西市農林学校として開校。その後、西市農業高、豊浦東高と改称し、52年に現在の校名となった。
一昨年から募集を停止し、山口農業高校西市分校として新たなスタートを切った。
西市高の卒業生は今年度を含め9084人を数える。
中尾誠司校長は「一つの校舎に二つの学校が存在した2年間で、多くの良き伝統を引き継ぐことができた」と述べた。
卒業生を代表し、生徒会長を務めた溝口光(ひかる)さんはコロナ禍で「大変だった」という最後の学校生活を振り返り、「西市魂を継承しながら新たな歴史を築いて」と後輩へ語りかけた。
校旗は中尾校長から浅原司・県教育長へいったん返納された後、卒業生から在校生へと継承された。
(貞松慎二郎)
私のコメント : 令和4年12月26日、下関市 西市高等学校は、一昨年から募集を停止され、山口農業高校西市分校として新たなスタートを切られ、山口農業高等学校 校長先生から その対応を得られて、現在に至っている。
令和5年4月23日、SONY RECORDS を聴く。
参考論文 : 三田商学研究 第41巻4号 1998年10月「環境生活の一般均衡」 黒田昌裕、野村浩二