「政権の寿命を縮めますよ」迷走の末、遅すぎた‟更迭‟の決断
配信より
「政権の寿命を縮めますよ」迷走の末、遅すぎた‟更迭‟の決断(西日本新聞) - Yahoo!ニュース
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)や
関連団体との接点が次々判明した
山際大志郎経済再生担当相の更迭劇は、
岸田文雄政権の迷走ぶりを改めて浮き彫りにした。
山際氏の説明は説得力と誠実さを欠き、与党内からも「辞任やむなし」
との声が高まっていたにもかかわらず、
解任の機を逸して追い込まれたのが実情だ。
首相の任命責任を問う野党がますます勢いづくのは必至で、
政権へのダメージは避けられそうにない。
「つまらないプリンス」が首相就任会見で見せた「らしくない」顔
午後7時前。辞任の意向を首相に伝えるため、官邸に現れた山際氏の表情はうつろだった。
「このタイミングしかないと思った」。
首相との数分間の面会後、記者団の前に立った山際氏は淡々と語った。
引き金となった教団側との接点に関する自らの説明責任については
「何か深い関係があったわけではないので説明できなかったのは事実だ。
全部覚えていることの方が自然ではない」。
引き際に至ってもまだ、持論を貫き通した。
約35分後、同じ官邸エントランスホールで首相が記者団に語った。
「国会審議に支障を来すのは本意ではないと申し出があった。私は了とした」。
更迭を否定したものの、引導を渡していたのは間違いない。
この日、夕方に予定されていた政府の経済財政諮問会議は急きょ、中止に。
自民党本部であった役員会への出席も首相は見合わせていた。
政府関係者によると、官邸サイドが山際氏に見切りを付け、閣僚交代にかじを切ったのは先週半ば。
17日から始まった衆院予算委員会で山際氏は、野党から教団側との関係を問われても
「記憶にない」「資料がないので分からない」などと不誠実な答弁を連発し、傷口を広げていた。
さらに18日には「これから新しい事実など、さまざまなことが出てくる可能性はある」。自民幹部からも「もっと、まともなことが言えないのか」と突き放されていた。
「かばえばかばうだけ、政権の寿命を縮めますよ」。
首相の下には連日、山際氏の更迭を求める意見が届いていた。
山際氏の後ろ盾となっていた甘利明前幹事長の説得もあり、
首相はいったんは事態を見守る構えも見せたが、最後は押し切るしかなかったという。
24日、参院予算委の集中審議を終えた首相は、午後4時過ぎに官邸に戻ると、
自民の麻生太郎副総裁ら党幹部に電話で「閣僚交代」を告げた。「
仕方ないですね」。
山際氏が所属する麻生派の会長でもある麻生氏は既に事態を把握しており、驚いた様子を見せなかったという。
政府、与党内には、10月初旬の今国会開会や、先週の衆参両院の予算委開始前に首相が決断すべきだったとの意見が根強く、
首相の指導力に対する不信感も漂う。
各種世論調査で内閣支持率は続落しており、
自民関係者は「きょう、あすで踏み切らなければ、今国会は絶望的だった。首相にとっても瀬戸際だった」とあてこすった。
山際氏を「瀬戸際大臣」と皮肉り、首相に解任を迫っていた野党は一層、ボルテージを上げる。
立憲民主党の安住淳国対委員長は、
「一言で言って遅すぎた。予算委が終わった段階で辞めるのは誠実さに欠け、政権のマネジメントが問われている」と批判をぶちまけた。
(東京支社取材班)
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