残された時間
「いちどだけ生まれたわれら」は誰でも限りのある時間を生きている。
老人であろうが赤子であろうが、
健康であろうが病気であろうが同様である。
しかし、これは頭ではわかっていても実感を伴わないことの代表例だろう。
きょうの「クローズアップ現代」を見て自分のこころを揺さぶってみたい。
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3767.html
がんを“生き切る”~残された時間 どう選択~
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天気雨
いちどだけ生まれたわれら天気雨に膝を濡らして自転車をこぐ
江戸 雪 『声を聞きたい』
まずいきなりの上句に吸引力があります。
わかっているつもりのことでも、あらためて言われて・・・
「ん・・?」という感じで引き込まれます。
「そうだね 『いちどだけ』 なんだよね・・・」と呟きたくなります。
映像を引き寄せる力のある「天気雨」。
これを要(かなめ)の第三句に置き、映像的な状況設定に成功しています。
そして、皮膚感覚を通じて伝わってくる眼目となる下句。
女性の濡れた膝が光っています。
・見えてくる一首
・考えさせる一首
と言えるでしょう。
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嘘くささ
これまでに作ってきた短歌を読みかえすと嫌悪感をおぼえることがある。
初期の作品ばかりとは限らない。
上手下手とは別の切り口である。
何となくその原因を問い続けてきた。
自分の作品には愛着があるのが普通である。
拙さが見えるものであっても私の場合その愛着は変わらない。
そんな自分の作品に嫌悪感をおぼえるのはなぜだろうか。
その原因のひとつは「嘘くささ」ではないかと感じてきた。
最近その思いが確信になりつつある。
「嘘くささ」と一口に言っても奥行きは深い。
いろいろな「嘘くささ」がある。
・状況設定の「嘘くささ」・・甘さを生みやすい状況(孫・母・愛・・)
・表現上の「嘘くささ」・・オーバーな表現、そぐわない文語など
・作者の心の「嘘くささ」・・恰好をつけているときなど
・内容全般の「嘘くささ」・・下記の「断定」など
・・・等々
一例をあげれば「断定」である。
そんなことを「断定」してしまっていいの?
と指摘したくなる作品があり、
それは「嘘くささ」につながっていると気づいた。
特に自分以外の人、身近な人であっても、
その思いなどを述べるときは断定はまずできないだろう。
推察、推量にするのが本来だと考えている。
「嘘くささ」はリアルさの対極にあり、リアリティーを打ち壊すものだと考えている。
今後とも注意したいポイントである。
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説明から描写へ
↑
自転車の前乗せに座るをみなごは車にて止まるわれに手をふる
説明から描写へ! なかなかの添削です。
その場の情景の浮かび具合を比べればその価値がわかるでしょう。
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改作(2)とコメント
(原 作) バスタブの向かひの幼子を思ひ出しそのつかの間に脳が乱るる
改作(1) バスタブの向かひの幼の赤ら顔思ひ出だして脈が乱るる
改作(2) バスタブの向かひに幼の赤ら顔浮かび血潮が脳に寄せ来つ
改作(2)を提出しアドバイスを待っていたのですが、
あっさりと最終稿のお知らせをいただいて、拍子抜けをしてしまいました。
もっとたくさんのアドバイスをいただきたかった、というのが正直な所でした。
今回学んだ点は
◆歌の中心となる物・人などは、その像が浮かぶように丁寧に描く
◆表現したい情景・感情に近づけるために、納得できるまで言葉を磨く
最後に、横山未来子さんから頂いた最終コメントを紹介させていただきます。
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「血潮が脳に寄せ来つ」、血圧が上がりそうな迫力がありますね。
「思ひ出だして」を「浮かび」に変えたところも、
思いがけなくその情景が浮かんだという感覚が伝わって来て、よいですね。
スピード感とリアルさのある一首になりました。
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貴重なアドバイスをいただいた横山未来子さん、ありがとうございました。
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改作(1)とアドバイス
バスタブの向かひの幼の赤ら顔思ひ出だして脈が乱るる
前回の記事に載せたアドバイスを受けて、私はこのように改作を試みました。
結句はなかなか納得できる形になりませんでしたが、
充実した楽しい時間を過ごすことができました。
これを受けて、横山未来子さんのさらなるアドバイスは・・・
◆「幼の赤ら顔」で、まざまざとわが子の様子が見えるようになりました。
◆結句で表現なさりたかった感覚を思いきってあらわしてみてはどうでしょうか。
次回に続きます。
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原作とアドバイス
私の原作です。
どこに問題があるでしょうか?
横山未来子さんの貴重なアドバイスを要約すると・・・
◆良い所
「バスタブの向かひの」という表現に臨場感がある。
◆直したい所
1)「脳が乱るる」のあたりが、やや分かりにくい。
2)「幼子」の様子をもっと描きたい。
私はどのように対処したでしょうか。
次回に続きます。
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