【青春18きっぷ】大阪からJRでゆく伊勢参り 前編 2023.3.27 | 旅行趣味者の紀行ぶろぐ

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近鉄を使わずJRで伊勢参りへ 前編

快速みえ 伊勢市駅にて
 
昔から一生に一度は行くべきとされて来た伊勢参り。江戸時代の伊勢参りは大阪(大坂)からでも片道5日間かかる旅でしたが、明治時代になり鉄道が開通すると日帰りすら可能になりました。
 
現在、大阪から鉄道でゆく伊勢参りは専ら近鉄を利用するイメージが定着しています。観光特急しまかぜを始め、伊勢志摩ライナーやビスタカーなど多彩な特急が伊勢方面へ運行されています。
 
近鉄の観光特急 しまかぜ
 
しかし今回は青春18きっぷでJRを利用して大阪から伊勢まで行こうと思います。
 
近鉄で行った場合、大阪難波駅・大阪上本町駅から約2時間で伊勢市駅・宇治山田駅に到着します。
 
一方JRで行った場合、草津線経由で5時間を要します。どちらが便利かは言うまでもなく、大阪からJRで伊勢参りをするのは18きっぷ旅行者くらいかもしれません、、、。
 
新快速 野洲行きで草津駅に到着
 
ということで大阪駅から新快速で1時間程で草津駅にやって来ました。新快速はとにかく速くて18きっぷ旅行者の味方です。
ここで草津線に乗り換えて関西本線と合流する柘植駅まで向かいます。
 
朝の草津駅
 
伊勢方面へは関西本線を天王寺から亀山まで乗って行くルートもありますが、今回はJR京都線・琵琶湖線から草津線で柘植ヘ行き、関西本線で亀山まで向かいます。
今回利用する草津線経由の方が少し速いですが、乗り換えが多いという難点があります。
 
草津
 
関西本線を生んだ関西鉄道は最初、この草津駅と名古屋駅を結ぶ路線を本線としていましたが、その後路線を奈良へ大阪へと伸ばしていき、現在の大和路線の区間から名古屋に至る路線を本線としました。
 
113系(柘植駅にて)
 
草津からは国鉄型の113系に乗車します。
113系は2023年3月末で草津線・湖西線での運用から離脱することになっていて、この旅行の5日後には草津線でこの電車の姿を見ることはもう出来なくなりました。
 
草津線への乗り換えは橋上駅を渡る必要があり、あまり時間が無く発車ベルが鳴るなかでの乗車となってしまいました。
同じように急いで乗ってきたお客さんで階段に近い最後尾の車両は超満員、、、。
沿線の利用客だけでなく18きっぷ利用者や、この113系目当ての乗客も多いように見えます。
 
草津線
 
草津駅を発車。
コロナ前以来の満員電車に閉口しましたが、2,3駅停車するうちに乗客はみるみる減ってゆき、座れる程になりました。
 

麦畑でしょうか

 

車窓からは青麦の鮮やかな緑のじゅうたんが見られました。初夏には黄金色の車窓が見られるのでしょうか。

列車は野洲川沿いを南下、貴生川からは野洲川支流の杣川に沿って進みます。

 

貴生川駅

 
草津線の主要駅、貴生川駅に到着。草津駅に次ぐ、草津線内で乗降客数2位の駅です。また貴生川駅は信楽高原鐵道信楽線の起点と近江鉄道本線の終点となっています。
 
貴生川駅からは甲賀市に入ります。
甲賀忍者などで知られる甲賀は東海道の宿場町、水口城の城下町として栄えた歴史豊かな土地で、甲賀武士が崇敬した油日神社、飯道神社、矢川神社などの古社が沿線に点在しています。
 
貴生川に続いて甲南、寺庄、甲賀、油日の順に甲賀市内の駅に停車、油日を出てしばらく山中を走ると滋賀県を離れ、三重県に入ります。
まもなく関西本線と合流する、柘植駅に到着します。
 
柘植駅に到着
右にレンガ造りのランプ小屋が見える
 

車内のようす(柘植到着後)
 
柘植駅と113系
 
列車は柘植駅に到着。
ここで関西本線のワンマン車に乗り換えです。
 
往時の面影を残す柘植駅
 
柘植駅は三重県最初の駅で1890(明治23)年に開業しました。現在でもホームの基礎にレンガ造りが見られたり、ランプ小屋が残されており、当時を偲ばせます。蒸気機関車や急行が走っていた時代は賑わいを見せていましたが、今はただ残された長大なホームが往時の面影をうかがわせています。
 

だだっ広いホームは長大編成の列車が走っていた名残

 

今はこの長大なホームに4両編成の草津線の列車と1~2両編成の関西本線のワンマン列車しかやってきません。ホームも心なしかすこし寂しげです。
 
柘植駅 駅舎
 
瓦葺きの木造駅舎の外観。関西ではもうなかなか味わえない雰囲気があります。
柘植は関西の果ての駅。ここから加太越えをして東海地方へ入って行くことになります。
 
関西本線 キハ120形
 
キハ120形亀山行きのワンマン列車がやってきました。これに乗って亀山まで行きます。
ここからは後面展望を見ます。ワンマン列車で車両の後面展望をじっと見ていても乗務員さんの気を散らしてしまうことはないのでこの位置が気に入っています。

 

柘植駅を発車

 

柘植を発車します。広大な敷地に敷かれている線路はなかなか壮観な展望です。

 

勾配を力走

 

関西本線最大の難所、加太越えに入ります。加太トンネルの手前では25‰(パーミル)の勾配を示す標識が見られます。日本の鉄道は原則25‰の勾配を限度としていた(それ以上の勾配の区間は「やむを得ない」場合)ため、限度いっぱいの勾配をモーター音を唸らせて力走します。

 

加太トンネルに入る

 

列車は全長929mの加太トンネルに入ります。

1890(明治29)年の開業当時から使用されている歴史あるレンガ造りのトンネルで、当時の土木技術の粋を集めて建設されました。トンネルの亀山側坑口には蒸気機関車の排煙による乗務員の窒息を防ぐために設置された隧道幕の跡が残されています。

 

 亀山側坑口の隧道幕設備跡

 
鈴鹿の山のトン子ルを くぐれば早も伊勢の國
筆捨山の風景を 見よや關より汽車おりて
― 鉄道唱歌 關西・参宮・南海篇 15番
 
トンネルを抜けると地理的にも伊勢に入ったことになります。加太越えを果たした列車は坂を下り、加太駅、関駅の順に停車。
 
だいぶ下ってきました
 
東海道関宿の最寄駅、関駅まで来ると伊勢平野に入り、線路もだいぶ平坦になってきます。
関の次は亀山です。
 
亀山駅に到着
 
亀山に到着しました。ここからはJR西日本からJR東海の区間になります。
亀山から多気までは紀勢本線を、多気から伊勢市までは参宮線を走ります。
亀山から伊勢市まで鳥羽行きの普通列車が直通しているので一本で行くことができます。
 
 伊勢市までの経路
 
 普通 鳥羽行のワンマン キハ25形
 
この区間の普通列車はキハ25形で運行され、多くがワンマン運転を行います。
 
先頭に座る
 
亀山を出発し、紀勢本線を南へ行きます。
この列車はクロスシートではなくロングシートなので景色は少し見にくいです。
そのため撮影した写真も伊勢市までは少なめです。
帰りは津まで快速みえに乗るので車窓はその時に、、、。
 
一身田を出ると伊勢鉄道伊勢線が合流し、近鉄名古屋線をくぐると三重県の県庁所在地、津に到着。その後、津市内を南下し、雲出川を渡ると津市から松阪市に入ります。
 
雲出川を渡る
 
松阪市に入ってしばらくすると、近鉄山田線をくぐり名松線と合流、松阪駅に着きます。
松阪の近くでは近鉄山田線と並走する様子が見られます。近鉄王国の支配に対しJRは快速みえで対抗していますが、標準軌複線電化の近鉄にはなかなか敵いません。
 
ライバルの近鉄電車とすれ違い
 
松阪を出ると、近鉄線が離れて行き、少しすると櫛田川沿いの田畑が広がります。
櫛田川を渡ると多気に着きます。
 
もうすぐ多気
 
多気駅に停車
 
多気からは伊勢市・鳥羽方面の参宮線が分岐します。分岐するときは支線であるはずの参宮線が直進し、本線の紀勢本線が大きくカーブして分岐します。これは先に亀山から鳥羽までの路線が参宮線として開業し、現在の紀勢本線のルートを後から建設した経緯があるためです。
1959(昭和34)年の紀勢本線全通の際に亀山―多気間は紀勢本線に編入されました。
 
ここからは参宮線に入って行きます。
参宮線は文字通り伊勢神宮参詣のためにつくられた路線です。かつては大都市からの優等列車や修学旅行列車が行き来しましたが、躍進する近鉄との競争に破れ、すっかり需要を奪われてしまいました。
 
参宮線の車窓
 
参宮線は沿線に伊勢神宮、二見浦(夫婦岩・二見興玉神社)や鳥羽(鳥羽水族館・ミキモト真珠島など)などの有名観光地から、田丸城跡などのローカル名所まで様々な見どころがあります。
参宮線途中下車の旅も魅力的ですが、大阪からの観光では鳥羽などで一泊する必要がありそうです。
 
宮川を渡る
 
宮川を渡ると、伊勢市の市街地に入ります。
近鉄山田線が再び合流してくると伊勢市駅はもうすぐです。
 
まもなく伊勢市駅
 
 伊勢市駅に到着!
 
大阪駅を出てから約5時間、ようやく伊勢市駅に到着です!
記事が長くなったので前編、中編、後編に分けようと思います。
中編は伊勢参りの記録を投稿します。