小田急電鉄。
神奈川県の小田原や観光地の箱根と、新宿を結ぶ私鉄。
江ノ島や多摩ニュータウンへのアクセスも充実しており、観光にも生活、通勤にも便利な鉄道である。
特急ロマンスカー。
小田急が運行する特急電車で、展望席など観光向けに特化したり、ビジネス向けにも大活躍する。
しかし、そんなロマンスカーの歴史から、一つの車両が引退の時を迎えようとしていたーー
1957年の「SE」登場から、NSE、Lseと進化してきたロマンスカー。
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床を高くし観光に特化したHISEは、引退後も長野電鉄で活躍。
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御殿場線直通の二階建てロマンスカーのRSEは、現在は山梨県の富士急行へ。
MSEは、御殿場線直通や地下鉄乗り入れもこなすマルチなロマンスカー。
EXEを改良したEXE-αは、ビジネスに長けた通勤特急。
このように進化してきたロマンスカーだが、その中でも人気の高い車両がいた。それはーー
それが、50000形VSEである。
見晴らしのよい伝統の展望席やカフェカウンター、豪華な個室を装備し、美しく洗練されたフォルムは、箱根観光特急としてのエースを担っているロマンスカーだ。
かなり製造には費用がかさみ、たった二編成の製造に終わったが、ロマンスカーの中でもかなりの人気を誇る。
2005年にデビューしたこのロマンスカーVSEが、何故短命に終わってしまうのか。それは、その「台車」にあったーー
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ロマンスカーでは代々受け継がれてきた、車体に台車を挟む「連接台車」。
空気バネを利用し、カーブ時の揺れを軽減、快適な乗り心地を実現できる。
また、騒音も静かになる。
しかし、この連接台車は、EXEやMSE、そして最新のロマンスカー・GSEでは採用されていない。
このGSEが、今後は唯一の展望席を兼ね備えるロマンスカーになるわけだが、何故連接台車が不採用かと言えば、単刀直入に言って「管理がめんどくさい」からだ。
この連接台車は、車体と一体化しているため管理の際にわざわざ車体をクレーンでつり上げる必要があるのだ。
コロナ禍で観光客や乗客が減少し、それにより儲けも激減した影響と、車両自体の老朽化も相まって部品の調達も難しく、管理が難しいと判断したのだろう。
このような事情から地方私鉄に譲渡されるとも考えづらく、今後は海老名にあるロマンスカーミュージアムで展示されると思われる。