尾瀬には今まで、コースと季節を変えて3回行っています。

最初に行ったのは高一の初秋、わたしの父親の職場の同好会に混じって連れて行かれました。

夜行電車・バスを乗り継ぎ、大清水から三平峠に登り、尾瀬沼を通って温泉小屋に一泊、翌日尾瀬ヶ原を縦断という3回行ったうちでは一番ハードなコース。

父が山歩くの好きで、子供の頃から高鈴山、愛宕山など地元の里山ハイキングコースは連れて行ってもらったけど、本格的な山歩きはこれが初めてでした。



上野駅発の夜行列車で沼田まで行くのですが、かなりの登山客で混雑していて席に座れませんでした。

明け方バスで登山口に着いたらすぐ歩き始めるので、少しでも眠っておこうと、みなさんザックを枕に通路で寝ています。わたしもそれに習って寝ましたよ、通路で。寒いしガタガタ振動するし最悪の寝心地だったけど、少しだけウトウトしました。

でもすぐに足に圧迫感を感じて目が覚めました。なんと、膝の下の方に知らないおじさんの頭が乗っかってました。



さて、大清水登山口から三平下への登りです。ガイドブックのコースタイムには2時間15分となっていますが、5時間くらいに感じました。

なんせ尾瀬といえば平坦な湿原に木道がかかっている写真しか見たことがなくて、乗り物を降りたら即ああいう所を歩けると思っていたのです。それが登っても登っても山道ばかりで、こんなとこ来るんじゃなかったと後悔もしたけど、峠を上りきって初めて樹間に見えた湿原は草紅葉で金色に輝き、まさに天上の楽園でした。

そこから少し下って尾瀬沼に到着する頃は、足取りも軽く楽しい木道歩き。



尾瀬沼畔も周りに小さい湿原はありますが、そこからまた林道を抜け、広々とした尾瀬ヶ原に出たときの感激は忘れられません。

9月の中頃だったか、木々の紅葉には少し早かったけれど、リンドウ・ワレモコウ・ウメバチソウなど秋の花が咲いていて、草が本当にキラキラしてました。

日光の戦場ヶ原もいいけれど、自分で歩いてここまで来たというのが嬉しくて、今でも思い出す心の風景のひとつです。



山小屋に泊まったのは実はこの時が最初で最後、だったかな?

なんか大部屋みたいな所にみんなで雑魚寝した記憶があります。夜行列車とあんまり変わりません。

しかも翌朝、顔を洗うときに洗面所で腕時計を外し、置き忘れてしまいました。気がついて戻った時には時計はなくなってました。

高校の入学祝に親に買ってもらった時計を、こんな素敵な所でなくしてしまったのがショックでしたね。温泉小屋を発って朝もやの湿原を歩きながら、なくした時計の事を思っていたのが鮮明に思い出されます。



あの時以来、何回か時計と指輪はなくしてますけどね。物より思い出・・・って。<おいおい!


$Day dreamer's trail