AIが将棋で人間最高峰に勝った。
ポーカーで勝った。
麻雀で勝った。
チェスで勝った、、、
最近よく聞く話だが、FXや株など、相場でAIが人間を上回り、
人間トレーダーは稼げない未来が来るのか?
僕は三つの視点から反対意見を述べたいと思う。
特に三つ目が重要。
一つ目は、FXはゼロサムゲームであるということ。
仮にAIが、世界で最高のトレーダーのクローンを作る技術だとしよう。
取引高4000兆円と言われる巨大な為替市場のうち、ほとんどがAIによる取引になったとしよう。
すると、相場の性質上常に負けるAIと勝つAIが現れてくる。
AIばかりの相場になったとしても、必ずしもAIが常に勝てるとは限らない。これが相場の世界なのだ。
まぁこれは人間トレーダーが勝てる理由には必ずしもならないが、次も考えて欲しい。
二つ目に、より投機的なAIにより、市場の投機的な乱高下が目立ち、規制される可能性も高い。
良い例が暗号通貨市場だ。
僕は時々見るくらいしかしないが、いつ見ても暗号通貨の価値は大きく変わっていることがわかる。
法定通貨がそんな動きをしてしまえば、通貨としての信用も無くなるし、実用性もなくなってしまう。
投機的な動きが増えないとすれば、今までの市場の動きを踏襲するだけに留まるだろうし、
結局AIを普及させていくのは難しい。
まぁ開発にも莫大な金と時間がかかるし、人間で足りてるうちは開発は進みそうにもない。
せいぜいアルゴ止まりということだ。
そして三つ目が最も相場の本質をつく理由なのだが
麻雀やポーカー、チェスや将棋などのボードゲームには「こうなればこう」という揺るぎないルールが存在する。
将棋やチェスであれば駒の全通りの動きを予測すれば「予想外」ということは有り得ないし、王将を取れる動きをすれば必ず勝てる。
ポーカーや麻雀では役の揃う確率を算出して合理的に行動すれば必ずトータルではプラスになる。
これは当然、忘れる人間には不向きで、AI向きの仕事だ。
一方、相場の最大の疑問は「どうすればどうなるのか?」に尽きる。
移動平均線で買えばトータルプラス、、
のような低レベルな話ではないが、AならばB的なルールが一切ないのが相場の世界なのだ。
相場で勝つためには未知の世界を正しく仮定する能力が必要だ。
テクニカル的にはどんなポジション量で、誰がどのくらいテクニカル指標を参考にしているのか。
ファンダメンタルズ面では、各国の政局(為替は相対価値で決まる)、金融政策、経済の健全さ、或いはサプライズ的な不健全さ。またはこれを市場はどう捉えて、何が正しいのか。、
こういった情報を複合的に考えて、「ならばこうなる可能性が高い」と仮説を立てる能力が必要。
いくら過去を遡っても、今まで有り得なかったことが簡単に起こるのが相場であり経済だし、
「なぜ起こったのか?」という単純な問にすら正確には答えられないのが経済学だ。
そもそも金融制度が始まって以来、せいぜい100年程度しか経っていない。
仮にあと10000年今のような経済体制が続けば十分なサンプルがあるだろうが、今は常に未知との遭遇であると言っても過言ではない。
ということで、賢いAIなら何でも出来ると思ったら大間違いだし、
仮に相場で勝てるAIを作ろうとしている人がいても、その人は相場では勝っていない非専門家なので、そう簡単に上手くはいかないのが現実だろう。