[3541]一人一人のデジタル遺産を総体的に整理できる先陣を切ったGoogle | TRAZOM@さるさる横丁

[3541]一人一人のデジタル遺産を総体的に整理できる先陣を切ったGoogle

【今日の一枚】
モーツァルト:ピアノ・ソナタ第11番 イ長調 K.311 「トルコ行進曲」
〔ピリス(p)〕
[CD]日本コロムビア◎COCO-70696



7:30起床。36.6℃
今年の冬はおかげさまで風邪をひいていない。例年だと必ず一度は具合悪くなるのに、今年は今のところだいじょうぶのようだ。でもこちらは晴天続きで、空気が乾燥しているから気をつけねば。

○デジタル遺産
ボクが死んだら、このアメブロ〝さるさる横丁〟はどうなるのだろう。書き手がいなくなって、宇宙に放り上げられて永遠に彷徨うばかりだろうか。アカウントを削除してくれる人なんていないしなあ。
そんなことを考えていたら、Googleフォトを2021年6月からは無料ストレージをやめると通知がきた。
これまでは写真に入れていた画像や動画が自動的にGoogleフォトにフィルアップされていた。それを続けたいなら月額いくらか支払いなさい、というのである。
今まで無料だったのが信じられないか、はたまた損をした気分になるか。

その数日後に、今度はGoogleのアカウントを2年使ってないと、サービスを削除するというメールが送信されてきた。例えば、Gmailなんかが含まれる。なかには楽天のように勝手に送りつけてくるメールがあるから、それらを受信していたら対象外になるのだろうか。いや開封しなかったらアウトなんだろうか。細かい部分はまだ明らかではない。
しかし、増え続けるストレージやアカウントに限界がきたということだろう。休眠状態のアカウントも少なからず存在するのは明らかだし。

デジタル遺産が問題になったことがあった。1冊の本にもなっている。わたしやあなたが所有するデータにも個人情報が含まれている。それが未来永劫、誰かに見られなくても、存在し続けることが問題なのだ。
Googleの取り組みは、こうした問題への対処の一つだと思う。ボクがせっせとかき集めた写真や動画、YouTubeなどがなくなるとしたら残念な思いにかられるが、逆に永遠に残ることもまた、よろしくないのだ。ボクはむしろ、これで安心したと捉えたい。

○もの悲しいトルコ行進曲
ピリスの若かりし頃のモーツァルトを聴いた。1974年、日本での録音。ジャケットを見るとボーイッシュで、マンガに出てくる妖しい美少年を連想させる。
演奏もピュアそのもので、純粋無垢と発売当初に話題となった。
有名なトルコ行進曲の入った第11番。曲の冒頭からゆったりしたテンポで、一音一音たしかめつつ弾いている、そんな感じ。ゆったりはいいが、漸進性に乏しく、早くしろと背中から押してやりたい気持ちにかられる。第1楽章は変奏形式なのだが、それぞれの連関よりも一つ一つが独立した曲のように弾かれる。だから全体の流れを犠牲にしたかのよう。
第3楽章の「トルコ行進曲」もゆっくりの流れは変わらない。トルコ風のリズム(タン、タン、タンタンタン)も強調されず、盛り上がりもみせずに曲が閉じられる。
長調の曲なのに、短調を聴いているようなもの悲しさがある。モーツァルトってこうだったか。悲しさというなら、もっと速いテンポで明るく振る舞う中に、そっとしのばせてやってほしい。

トルコ行進曲の続きにイ短調のロンド(K.511)が組まれてある。こちらは快適なテンポで、一筆書きのような趣で、かえってもの悲しさが強調されている。
ピリスは後年、モーツァルトのピアノ・ソナタを再録音している。K.311はやはりゆったり目のテンポを採用しているが、最初のと比べると、いくぶんまともである。