2024 明治安田J1リーグ 第8節

 緑 vs FC東京

 味の素スタジアム(東京都調布市)

     での東京ダービー

 

さぁ、内容芸術エンタメ性一切関係無し。勝つか負けるかそれだけがすべてのそこにはガチバトルしか存在しない因縁の憎悪の歴史を積み重ねてきた由緒ある東京ダービー。両軍のサポーターの自分の子達への情念の叱咤激励と相手の選手やチームへの殺気と嫌悪に満ちた揶揄や怒声が鳴り響く中日本一えげつなく醜く美しくそして最後には青赤のFC東京が必ず勝つ(はずの)大決戦のフエが鳴り、合法的でルールある中でボールを蹴り合いそして我々に絶頂を与える悪夢のようなケンカの口火が切って落とされた2024年4月13日午後4時である。

 

そんな両軍が地獄の釜をのぞきながら殺伐とした緊張感をそこかしこに漂わせる中で最初の悪夢の現実を見たのは我らが青赤の安斎颯馬だった。前半中頃にこともあろうにペナの中でPKを与えて失点に関与しその上しばらく後に2枚目のイエローカードまで突き付けられ勝利への志半ばにしてピッチから滅び去る。そしてさらにはこの時点で2点をリードする緑は天国への切符を手に入れる直前の場所へと進み、そして僕たち青赤は今度は正にサポーターを含むチーム全員がその地獄の釜の中に落とされ首都東京から消滅させられる寸前の所に追いつめられる。そして青赤にとって血の気がひくどころの話ではない恐怖の前半を終えるフエがなり、緑色の誰が見てもFC東京の連中が死に水をとるための準備の時間だとしか思われないようなハーフタイムをはさんで残りの45分が始まる。

 

レフリーのフエが鳴り、両軍陣地が入れ替わり試合開始から変わらない圧倒的な重苦しさの中でも緑は当然優勢に余裕をもち読売ランドでつちかってきたその伝統のパス回しを披露してゴージャスなゆとりさえ漂わせながら決闘を進めてゆく。そんな対戦相手を見て僕たち青赤は焦り苦しみ空回りしベンチやゴール裏はのたうち回る。それでもまるでありえない様な満身創痍の傷だらけの中、戦士たちを束ねるわれらの将軍・ピータークラモフスキーもやはりまた悩み苦しみながら選手交代のカードをどうにか駆使して彼らに一縷の望みを託してゆく。そして、選手交代で新たな男が決闘場の芝生の上に現れる。そう、決して港町のトリコロールではなく首都の青赤の炎の色のシャツに身を通す遠藤渓太である。彼で何かができなければ、青赤は地獄へと消える。

 

奇跡への第1歩が始まるのは白井康介の1本のスプリントからだった。後半の中ごろ、緑のチームが奏でる美しい芸術のわずかな乱れを見逃さず、それを見守るやはり彼らの将軍である城福浩の目の前でパスカットすると疾風の様な猛烈な速さで右サイドを攻めあがる。カウンターの状況になり必死に攻めあがる青赤と焦りを見せつつ後退する緑。そして、JFLから10年がかりで叩き上げてきた風の男白井康介がゴール前へと託したラストパスを寺山翼が巧妙にスルーした真横でボールを受けたその遠藤渓太が強烈な一撃を緑のゴールに叩き込み、いよいよその奇跡と悲劇が交錯をし始める。流れが変化をし始める。さらには歴戦の長友佑都が交代でピッチに出撃すると青赤の炎がいよいよ燃え上がりはじめ、少しでも緑をこちらの地獄の釜に引き込もうとその足元に迫り始める。そして、焦りながら逃げる緑と満身創痍で追う青赤の最後の死闘が終わる試合終了のフエが鳴るまさにその直前でGK波多野豪が青赤の執念を込めたロングフィードを飛ばす。しばしの後、ボールが落ちた緑のゴール前のその陣地で激しい混戦が起こる。そして彼らの天国への綱を切り落としわれら青赤の地獄への通路を閉じる一撃をゴールを叩き込んだのはやはりその遠藤渓太だった!しばしの後、レフリーが天国と地獄の両方がスタジアムの双方のゴール裏で同じように交錯する中で決闘が終了して緑と青赤の両方がこの世に生きることになる引き分けを宣告する。痛み分けの4月12日の決闘が終わり、東京ダービーは8月の第2戦へと持ち越された。そう、新たな地獄まであと4か月。運命の死闘はどちらかがJ2に降格しない限りは永遠に続く。両軍にとって地獄は近く、天国は永遠に遠い。

 

 緑 2-2 トーキョー△

 

           ともぞう

 

この試合の「日本代表に呼べ!」

FW22 遠藤渓太(ケイタ)

青赤の誇りと尊厳を守る見事な2得点!相手に2点リードされさらには10人で戦うという超ど級の劣勢の中で奇跡を起こした!この瞬間、彼は青赤の伝説になった。