【ドクターユースケ・サンタマリアの事】
救急車で運ばれて最初に対応して下さったのが、ドクターIだと記憶している(周りを見る余裕などなかったが、おそらくまちがいない)。そのあと、家族と離され面会謝絶(コロナ禍なので)の即日入院で一気に不安が襲ってきたのを覚えている。吐き気が治まらない2日目に鼻からチューブを入れて下さったのもドクターIだ。もう自分では吐けないので、入れてもらうしかないと覚悟を決めて臨んだが、思ったよりすんなり入ったので、ドクターIがうまいのだと思う。人一倍痛がりの怖がりが言うのだからまちがいない。丸1日入れてむかつきが取れてぐっすり眠れるようになったので、ドクターIに感謝しかない。ここで忘れてならないのが看護師さん。特に低めの声のNさんが印象的だ。吐き気で眠れない私に眠剤と吐き気止めを点滴して下さった。まるで天使だ。とにかく点滴が入りにくい私の血管に一発で入れてくれたり、熱が高くなったらすぐに熱冷ましを入れてくれたりと、ここの看護師さんはすこぶる優秀だ。もちろんドクターもしかり。なにより、このコロナ禍で受け入れて下さったこの病院がすばらしい。
ただ外科の先生はせっかちなのか、カーテンの外で名前を呼んだらすぐにカーテンを開けるのだ。ズボンを下ろしているときに開けられて、おかしな格好なのでとりあえずズボンを上げたことがあった。ドクターに何を見られても平気だが、できればはだかでからだを拭いているときは避けたほうがよい。だいたい来られる時間帯がわかってくるのでその後は避けることができたが。
ところで、私はきつい近視なので、普段はコンタクトかメガネをしないと人の顔が見えない。さすがに緊急入院時はどちらもしていないので、家族にメガネを持ってきてもらうまで、誰の顔も見えないままだった。
最初に担当医やドクターIやその日の担当の看護師さんが名前を名乗られるが、まったく顔が見えていないのだ。苦しいときはもちろん顔を見るどころではないので当然ではあるが。よって、声となんとなくの輪郭で、イメージが出来上がる。ドクターIは「ユースケ・サンタマリアだ!」と思った。実は私は俳優のユースケ・サンタマリアが好きなのだ。当分の間、いや顔が見えるようになっても、ドクターIはユースケ・サンタマリアにしか見えない。いつもやさしくほほえんで、チューブを入れるのもうまくて、抜くときもあざやかだ。退院するとき、あいさつしたかったが、残念ながら不在であった。看護師さんによろしく伝えてほしいと頼んだ。ドクターユースケ・サンタマリア、ありがとうございました。