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整体スクール(学校)できちんとした技法を学びませんか!by塾長 亜水之介

かつて増永師は「卵巣反応による肩こり」がある、という事実を呈示しました。


このことは師の多くの業績の中でも、特筆すべき一つに数えても良いのではないかと思っております。なぜなら、この症例は肩こりの中でも相当数を占め、その理論を応用することによって成果が上がること度々だからです。


すでにこの理論を応用し、実践されている方もいらっしゃるとは思いますが、今一度、卵巣反応による肩こりの実体を把握して置きましょう。


肩甲骨内縁上角から隆椎(第7頚椎)にかけてのコリ・・・単なるコリではなくて、ガチガチという形容詞を付けたくなるくらいの硬さを持ちます。
(場合によってコブのように感じられる)


勿論、卵巣反応というくらいですから、ご婦人特有のもので、男性には当てはまりません。

昔から「本当にほぐしづらく難儀する肩コリは男性にではなく、女性にある」と術者の間で伝えられてきたのは、この卵巣反応による肩コリを指しているものと思われます。


卵巣の器質的病変がなくとも、漢方でいう「瘀血(おけつ)」や「血の道症」などで見られる卵巣機能低下によって広く発現する症状ですから、西洋医学的な検査とは無関係に存在する病態と申せましょう。

また閉経によって卵巣機能が停止したとしても、瘀血の証は依然あり得るわけですから、月経の有無にかかわるものでもありません。


つまり、女性であれば幾つでも(おそらく10代後半~70歳代くらいまで)、この症状を呈する機会があるということになります。


筋肉的にいうと僧帽筋、そしてその下層にある肩甲挙筋までコリコリになっている状態です。ですから、人によっては首が回しづらくなっている場合もあります(肩甲挙筋の問題が影響を与える)。


経絡的には瘀血の証で出る"小腸経"の走行と一ほぼ致しますから、卵巣反応という言い方は正鵠を射ていると言えるでしょう。


いずれにしても、このコリは厄介で、どんなに強圧しても緩むものではありません。


最終的には自分の親指と相手の肩とのケンカみたいになってしまうわけですが、人を癒す行為がケンカのようであったり、暴力的であったりしてよろしいはずもなく、効かせようと四苦八苦しているのは滑稽としか言いようがありません。それどころか、クライアントの身体を刺激に鈍感なマッサージジャンキーにしてしまうという罪深き行為とさえ言えるのです。


そこで重点として、そのコッている部位ではなく、首の付け根あたりにある僧帽筋の第1トリガー、さらに底にある肩甲挙筋のセントラル・トリガーを緩めていきます。


そして肩甲骨の引き剥がしを十全に行えば、コリが相当緩むはずなのですが、肩甲骨内縁そのものが硬く、その内縁部に指がほとんど入らない方もいらっしゃいます。

こういう場合は緩み方がイマイチなのですが、それでも他流儀の数倍、緩みますし、長持ちしますから、基本手技の中に入れてある技法ではあるわけです。


さて、トリガーだけではなく経絡的な知識を身に付けると、増永師が提唱する「このコリの緩め方」がよく理解できるようになって、実践で使いこなすことができるようになります。経絡を実践で使いこなすには相当な実力が必要ですが、この場合はパターン化できますから、要領さえ覚えれば、さほど難しいものではありません。
(この要領を独学で会得するのは大変な苦労を伴いますが)


①まず、左側の肩甲骨下端周辺の脊柱起立筋を緩めます。
(ここは経絡的には胃経反応ゾーン)


②さらに胸椎10番~12番くらいまでの際を緩めます。
(経絡的には脾経反応ゾーン)


③仙骨上部から第5腰椎にかけて緩めます。
(経絡的に膀胱経反応ゾーン)


④そしてこれが一番重要かと思いますが、腸骨上縁部に卵巣反応点が存在しますので、ここをしっかり持続圧。(椎骨棘突起の位置から5センチ程外側にある)


⑤前腕後面尺骨寄りの部位を緩めます。
(経絡的には小腸経が走行)


以上、5つの操作が増永師が提唱する「卵巣反応による肩こり」の処理の仕方です。

さらに私は斜角筋(小腸経)TPへのアプローチを付け加えることをお薦めします。これによって、肩甲骨に響いたなら、確実に卵巣反応による肩こりだと判断できますから、より効き、さらに長持ちすることでしょう。


また時間があれば腹証による小腸経反応ゾーン(卵巣ポイント)や脾経反応ゾーン(腰筋TP)を補瀉すれば、より本質的な体質改善につながり、コリづらい身体作りの一助となるはずです。


基本手技に加え、上記の操作を行えば、瞬時と言ってよいほど、即効的に緩んでくるのを実感できます。


圧しても、揉んでも、引っ張ってもビクともしないコリが一見なんの関係もない部位を操作することによって、軟化し緩むわけですから、もっとも施術の醍醐味を味わえる症状の一つかもしれません。


むしろ、せっかくこの業界に入ってきたのですから、そういう醍醐味を味わうことなく、過ごすのは勿体ないとも言えるでしょう。


人体の秘密の一端に触れると敬虔な気持ちにさえなりますが、肩こりというもっとも一般的な症例でそれを体験できることもあるわけですから、覚えておくに如くはないと思うのですが、如何でしょうか?


つづく・・・


※女性の肩こりで卵巣反応からのものと言えるのは軽いものも含めて3割~4

 割くらいかな、と思いますね。そのほとんどは基本手技で充分ですが、"按摩 

 泣かせ"的な重症コリ者には既述のような卵巣反応処理を行うと、とても効果

 を感じてもらいやすいのと同時に「楽な感じ」が長持ちするのです。