先日、姿勢と腰痛の関係をエビデンスをもとに考え直そうというセミナーに参加しました。

「姿勢を直せば腰痛が治る」

ということが定説になってしまっている今、これが嘘だったら腰痛患者とっては不利益でしかないということでテーマに選ばれたようです。

実際、現場で「姿勢を直せば腰痛が治る」と思って施術をしている人がどれだけいるか。

少なくとも私の周りではコンサルに姿勢矯正と経営をパッケージで買って、言われるがまま施術をやっている意識の低い人か、学校で習ったことを疑問も持たずにやっている不勉強な人だけです。

姿勢を整えるだけでは症状が改善しないことは20年前からすでに周知の事実で、現実、はるか昔からカイロプラクティックなどでもレントゲンを撮らなくなっているし、矯正してもレントゲン上では変化がないことも分かっています。

しかし患者さんの中では体の不調＝姿勢が悪いのが原因と考える人が多く、原因は大抵はマスコミの影響だと思います。

今更この問題を取り上げたということは何か新しい事実と解決法があるのかもしれないと思い受講しました。

内容としては

・椎間板に負荷がかかる姿勢がそのまま腰痛の発生につながるという根拠はない。

・座る姿勢で腰痛が発生するという根拠はない。

・立ち方で腰痛が発生する根拠はない。

・物を持ち上げる姿勢で腰痛が発生する根拠はない。

ということで、結果として「姿勢と腰痛は関係があるとは言えない」ということでした。

では何が一番影響するかというと結局「時間」が一番影響してそうということでした。

これもすでに以前から言われており、同じ姿勢で45分以上いると腰痛が無い人でも腰痛を感じるようになるという実験があります。

では対策としてどうするかというと、姿勢を頻繁に変えて、一カ所に負担がかかる習慣を止めようということでした。

もう一つ、時間以外に腰痛に関係するとされていることが、社会的な影響や心理的な影響ということでしたが、これもすでに25年前には言われていたことで昔「Pain」という本の翻訳本で読んだことがあります。

今の日本の腰痛研究はまだまだ進んでいないのを実感しました。

このセミナーで参考にしていた論文の問題点として挙げられていたのが

・論文によって腰痛の定義が曖昧

・腰痛予防の研究が少ない

などです。

それ以外に感じたことは、姿勢の影響を筋肉への負担のみに限定している事が偏っているように思いました。

これでは「不良姿勢＝腰痛」を訴える人と根拠を変えているに過ぎません。

不良姿勢による影響は内臓の配置や血流の影響、脳内物質の変化、ホルモンバランスへの影響、免疫細胞の増減など色々考えられます。

それに一切触れずに姿勢と腰痛は関係ないと言いきるのはまだまだ早く根拠不足に思いました。

患者さんからもよく言われることですが「行くところで言われることが全部違う」ということです。

それで戸惑うようですが、行く病院で言われることが違うということは結局「分からない」ということです。

オステオパシーでは原因が分からないからこそ原因の多くは「自律神経」と考えて姿勢矯正を行います。

腰痛を治すためではなく、筋肉の異常信号を正常化させる目的で姿勢を整えます。

そしてそれが腰痛改善のきっかけになると考えています。

姿勢と腰痛の関係セミナー